阪神、ロッテで選手、コーチを経験した今岡真訪氏(48=日刊スポーツ評論家)が球界の話題を深掘りする「今岡スペシャル」。今回は阪神4番の大山、佐藤輝らの打順の見直しも含め、チーム力アップには「適材適所」が不可欠と説いた。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

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今季の阪神は計108パターンの打線を組みながら戦ってきた。開幕当初と現時点のオーダーを比べると、1番近本が3番、佐藤輝は4番から6番に下がるなど、ほとんどの選手の打順が変わっている。

どのチームにもいえるが、1年を通じてメンバーを固定して戦うことの難しさを表している。それはポジショニングも同じで、チーム状況で攻守を変えるのは、監督の考え次第といえる。

ただ選手の「打順」「ポジション」には必ず適材適所がある。一般企業で営業が得意な社員が会計に回されて中途半端だと、業績が伸びないのと一緒。その選手に合った“居場所”でこそ最大限の力を発揮する。

阪神の4番についていうと、今年起用された佐藤輝、大山の2人は果たして4番なのかと改めて考えさせられる。どちらも初球からどんどん打っていく同じようなタイプで、どこに据えるかは難しかったはずだ。

阪神で2軍野手総合コーチだった17年、大山はプロ入りした。中心的存在に育ってくれるだろうと想像しながら「将来何番が適しているのだろうか?」と考えながら見守ったつもりだ。

初球からどんどん打っていく大山に「初球から手を出すな」、佐藤輝に「4番に合った打撃を」といっても、本人たちは戸惑う。周りから指摘されて変えるのと、自分から変わるのでは意味合いが違うからだ。

ロッテ時代にファームにいたヤクルト村上を見てきたが、3番ではなく4番タイプで、大砲に育てるべきというのがすぐに分かった。なにも大山、佐藤輝の4番はダメと言ってるわけでなく、現状は2人以外に候補は見当たらない。

仮に4番ではなく、クリーンアップのどこを打っても、試合に出続ける主力でなければならない。また、教えるほうが4番に育てると決めたというなら、なにも4番像の型にはめなくてもいいだろう。

たとえば、3番佐藤輝、5番大山の間に、初球から手を出さなかった金本さんのような4番がいるのが理想的で両脇も生きる。大山、佐藤輝について「どの打順に適しているか?」といった見直しが必要だろう。

ポジショニングについても同じ考えだ。例えば本当に中野はショートに向いているのだろうか? という視点で見ていると、その能力を把握し、そのタイプに合った配置の重要性を感じてしまう。

教える側が選手を見極め、的確に能力、タイプをつかみ、指導し、いかに適材適所で起用することが大切か。それが個人のため、チームのため、そして勝利につながっていくのだろう。

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