阪神は今年も課題の守備が改善されなかった。

20日現在、失策数は5年連続リーグ最多で82個。個人最多は中野の17個で、チーム、個人のダブルでリーグワーストの数字になった。

中野はルーキーイヤーの昨年もリーグ最多の17失策。遊撃手はエラーが多い傾向にあり、過去には阪神鳥谷や巨人坂本らリーグを代表する選手でもワーストを経験している。とはいえ、今季も「失策王」で終われば2年連続の不名誉記録。セ・リーグでは、15~17年の田中広(広島)の3年連続以来で、阪神では平成以降では初めてになる。

エラーの多さは、今季複数ポジションを守った選手が多かった影響も否定できない。阪神は今季、二塁と三塁で規定試合数(捕手72、野手95)に達した選手がないままシーズンを終える。ポジションが固定されない不慣れさも、ミスの多発につながったといえる。

ここ一番の勝負どころでもろさが出る傾向も、同じだった。失点に直結したチームのタイムリーエラーは14個で3年連続リーグ最多。「適時失策王」も阪神佐藤輝で、ヤクルト村上、オスナと並ぶ3個で最も多い。

17年連続V逸翌日の18日ヤクルト戦は、タイムリーエラーを含む3失策の0-1完封負けで、勝ち切れない近年を象徴する敗戦になった。チーム防御率はリーグ唯一の2点台ながら、貧打と守備のほころびから痛い星を落とすケースが目立った。ホームは守備力が求められる広い甲子園。守りを鍛え直さない限り、頂点は遠のいたままになる。(おわり)【記録室=林亮佑】