今季限りで現役引退を表明している阪神糸井嘉男外野手(41)が、現役最後の練習に臨んだ。外野でランニング後、ティー打撃で感触をチェック。フリー打撃では変わらぬ「超人」ぶりを発揮した。右腕の小山内打撃投手を相手に、18スイングで3本の柵越え。右翼席中段に放り込んだ。

圧巻は左腕の高田打撃投手と向き合ったときだ。逆風の中、ライナー性の当たりで左中間最深部に突き刺すと、直後に滞空時間の長い弧を描いて右翼席中段へ吸い込まれるような打球を放った。2連発など18スイングで柵越え4本を披露。「(引退を)撤回しよかな。ハッハッハ。見た? あの左中間の!」と声をはずませた。合計で36スイングの7発。往年の強烈なパワーを見せつけた。

この日は引退試合。練習前にナインの前であいさつし、糸原から花束も渡された。「いやーもう、ありがとう。僕も感謝の気持ちを伝えて。年が離れているなか、仲良く接していただいたんで。はい。僕が助けられた部分が多いんで」と頭を下げた。仲間には「超人」とプリントされた、おそろいのTシャツで出迎えられたが「いや、実はこれ、先に40枚購入したんよ(笑い)。お世話になった方に。購入済みです」と笑わせた。フリー打撃の前後には広島東出野手総合コーチや小園、石原からあいさつを受けるシーンもあり、阪神川藤幸三OB会長に客席から労をねぎらわれた。

練習後は引退記念Tシャツを着て、グラウンドを引き揚げた。「今日がみんなと一緒に過ごす最後の練習なんで。楽しかったです」と振り返った。引退試合に臨む心境について「僕の姿を最後にしっかり見せられたらなと」と力強く話した。

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