今季限りで現役引退を表明している阪神糸井嘉男外野手(41)が試合後、引退セレモニーに臨んだ。4万2267人が詰めかけた甲子園で延長11回の熱戦の末に敗戦。午後10時50分過ぎから始まったが、外野の観衆は埋まったままで帰らない。糸井は引退あいさつでマイクの前に立った。

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ちょっとこんな(仲間からの)メッセージを見せられたら、すべて(話すことを)忘れちゃいました。始めに大事な時期にこのような素晴らしいセレモニーを用意してくださった阪神球団、球団関係者、監督、コーチ、選手の皆さん、本当にありがとうございます。今日、僕はここで19年間というプロ野球選手に別れを告げます。あらためて、このような光景を見させていただくと、もう僕には悔いは残っていません。そして、育てていただいた北海道日本ハムファイターズ、オリックスバファローズ。両球団に感謝、申し上げます。本当にありがとうございました。

投手として入団してわずか2年で野手転向を告げられました。そこから僕の野球人生は変わりました。結果が出なければ、すぐにクビを切られる世界。プロの世界は本当に厳しい世界だと肌身に思い知らされました。そこから死に物狂いでバットを振り続け、毎日、毎日、もうあの思いをしたくないとバットを振り続けました。あの時の悔しさ、努力の大切さ、僕の土台です。

朝から晩までペットのようにしつけてくれた大村コーチ、ありがとうございました。あの時の土台があったからこそ、苦しいときも心が折れそうなときも、前に立ち向かっていけました。その気持ちだけを持って戦い続けてきました。いつしか皆さんが「超人、超人」と呼んでくださるようになり、最初は羽の生えた鳥人かと思っていました。いつしか意味を理解し、いまでは心地のよい響きです。

そして、FAでこのタイガースに入団。正直、小さい頃から大好きで、憧れの球団でした。金本前監督とのご縁で入団することになり、初めて、この甲子園でプレーしたときの感動、興奮、胸の高鳴りは一生忘れません。地鳴りのような声援、しびれました。みんなと優勝したい、勝ちたい、その一心で、この6年間、戦い続けてきました。今年もまだチャンスはあります。信じています。タイガースは本当に成長したと思います。素晴らしいチーム、チームメートです。みんなが声援に応えようと日々努力しています。強いタイガースの時代が来ることをみんな信じていましょう。ファンの方々もその時まで僕と一緒に応援しましょう。

最後になりますが、野球を通じて出会えた人たちに本当に感謝いたします。正直もう『糸井なら打てる~や~』を聞けなくなるのは寂しいです。でも僕の野球人生は本当に幸せでした。密でした! やりきりました! でも、超人伝説はまだまだ続きます。甲子園、ありがとう! タイガースファン、ありがとう! オヤジ、おかん、ありがとう! 本当に19年間、温かいご声援、ありがとうございました。

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