広島佐々岡真司監督(55)が3日、マツダスタジアム内で辞任会見を開いた。就任3年目の今季「結果が出ないとユニホームを脱ぐ」と決意し、シーズンを迎えた。球団記録の開幕6連勝で発進したが、交流戦は最下位。9月11日にはV逸が決まった。同25日にはヤクルトが連覇を果たし、その日に辞任を決断。翌日に球団幹部に意思を伝えた。3年間で終わった佐々岡政権。監督として最後の1日を迎えた。

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佐々岡監督は引き締まった表情に終始した。3年間の監督業。コロナ禍初年度の20年は5位。21年は4位で最終年となった22年は5位に沈んだ。いずれもBクラス。「自分の責任」と指揮官を退く決断に至った。

■3年間でVなし「責任を取りたい」

もとより今季は、勝負の1年に置いていた。開幕前から「今年結果が出ないとユニホームを脱ぐ覚悟」をしていた。93年以来の球団記録に並ぶ開幕6連勝で22年を発進。快進撃だった。貯金6の3位で交流戦を迎えた。「今年は自信を持って入れる」と自身も手応えを感じていた。だがしかし、終わってみれば交流戦5勝13敗で開催3年連続の最下位。最大7あった貯金を使い果たし、気付けば借金だけが残った。成績は下降線をたどり、9月12日に優勝が完全消滅。同25日にヤクルトが連覇を果たした。宙を舞った高津監督をテレビで見ながら、静かに断を下した。翌日鈴木球団本部長に「責任を取りたい」と辞任の意思を伝えた。就任3年連続のV逸が、1人の監督として重かった。

■合計26年広島に携わり「幸せな男だった」

選手として18年、投手コーチとして5年、そして監督として3年の合計26年間、赤いユニホームに袖を通した。かねてカープファンだった自らを「幸せな男だった」と振り返り、カープの一員として過ごした日々を回顧した。

■「来年以降も一カープファンとして」

その一方で監督として残せたものは「ないかな。ないから辞めないといけない」。果たしてそうだろうか。前日の引退セレモニー後には、1度監督室に戻ったが、菊池涼や野間らに引っ張られて記念撮影が行われた。「(大瀬良)大地が肩を抱いて、菊池(涼介)が肩をたたいてくれて。涙をこらえるので必死でした」。現役引退時も見せなかった光るものが目頭を熱くした。人情で愛された証しだろう。「来年以降も一カープファンとしてずっと応援していきたい」と語った。佐々岡真司のカープ愛はまだまだ続く。【前山慎治】

▽広島松田球団オーナー(佐々岡監督について)「ご苦労さまと伝えた。野手も投手も隔たりなく話すことができる。口下手なので鼓舞したりすることは苦手だったかもしれないが、人柄の良さが出ていた」。

▽広島河田ヘッド兼外野守備走塁コーチ(松田球団オーナーに退団の報告)「2年間お世話になりました。力になれず、ご迷惑ばかりかけてすみませんという話をさせてもらった。今後も頑張ってくれと言っていただいた」

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