日本ハムは11日、千葉・鎌ケ谷の球団施設でスカウト会議を開き、20日のドラフト会議で、投打二刀流左腕、日体大の矢沢宏太投手(4年)を1位指名することを公表した。稲葉篤紀ゼネラルマネジャー(GM)は走攻守投の各部門のポテンシャルの高さを評価し、二刀流はもちろん、三刀流への可能性を言及。OBでメジャーの二刀流右腕、エンゼルス大谷翔平投手(28)を超える活躍を期待した。

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世界に通用する“二刀流”育成で実績のある日本ハムが、1位指名に決めたのは、大学球界で注目の二刀流左腕だった。約2時間のスカウト会議を終えた稲葉GMは「1位は日体大の矢沢選手で行きます」とキッパリ。中止となった3月の侍ジャパン強化試合・台湾戦で大学生ながら日本代表にも選ばれた逸材。「走攻守投と各部門においてポテンシャルも高いですし、球団の方針である(その年の)NO・1、オンリーワンである選手。二刀流も三刀流も出来る選手で、いろんな可能性を含めて決めた」と最大級の評価を並べた。

プロ入り後は野手専任かという情報が流れる中、9月中旬の面談で、矢沢本人の意志を確認した。大渕スカウト部長は「投げて打って走りたいと、本人の強い希望があった。彼のコメントを聞いて、魅力がさらに増した」。育成面では、現在エンゼルスで活躍する大谷のノウハウを、生かすことが出来るのも強み。稲葉GMは「投手も補強ポイント、野手も補強ポイント」と苦笑いしたが、高いレベルで投打をこなす矢沢は、うってつけの素材だ。

当初「当日まで1位指名は公表しない」と断言していた球団側だが、各球団が公表する中、発表に踏み切った。新庄監督の了解も得た。競合時の抽選役は予定通り同監督が務める。起用法については「大谷のような使い方は考えにくいけど、新庄監督であれば、いろいろ工夫してくれると思う」と、大渕スカウト部長。新庄監督の柔軟な発想力を助けに、投打二刀流を超えるニュースターの誕生を期待した。【中島宙恵】

◆矢沢宏太(やざわ・こうた)2000年(平12)8月2日生まれ、東京都町田市出身。忠生中では町田シニアに所属。藤嶺藤沢では1年秋からエース。甲子園出場はなく3年夏は南神奈川大会8強。高校通算32本塁打。日体大では1年春から外野手で出場し、1年秋には初登板。2年秋に外野手で、3年秋は投手で、今春は指名打者でベストナイン受賞。7月の国際大会「ハーレム・ベースボール・ウイーク」で大学日本代表。首都大学リーグ通算12勝、5本塁打。173センチ、71キロ。左投げ左打ち。

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