日本ハム1位指名が公表された日体大の投打二刀流・矢沢宏太投手(4年=藤嶺藤沢)。世代トップクラスの「5ツールプレーヤー」に高い評価が下された。矢沢は8日のリーグ戦後、「ドラフトは大学に入った頃からの目標。思いは変わらず、常に目指してやってきた」と話していた。描いていた夢の実現に、大きな1歩を踏み出した。

身長173センチ、体重71キロ。決して大柄とはいえない体形の持ち主だが、投げれば最速152キロ左腕。左打者として、豪快に振れば本塁打。安打を狙えば広角に打ち分ける技術がある。今春首都大学リーグでは防御率1・83、打率3割5分をマーク。投打ともにNPBスカウトたちから高評価を得ていた。

魅力の1つに「走力」がある。6月に行われた大学日本代表候補選考合宿の50メートル走では、光電管による測定で5秒98を記録。参加した全野手の中でトップの数値をたたき出した。その走力は実戦でも大きな力となっている。内野安打や併殺阻止はもちろん、相手野手に走塁でプレッシャーを与え、今秋リーグでも失策を誘うケースが多く見受けられる。

今夏は大学日本代表選出、プロアマ記念試合出場と大忙し。強化練習に時間を割くことが出来なかったが「実戦の中でいい感覚を作れるようにしました。さまざまな初対面の投手に対して、タイミングの取り方だったり、いろんなボールをみることが出来た」と、野球人としてのステージアップを実感した。経験の豊富さも魅力のひとつだ。

今年1月、地元町田市の神社に初詣に訪れた際、引いたおみくじの運勢は「大吉」だった。実力だけでなく、運も持ち合わせた二刀流だ。【アマチュア野球担当=阿部泰斉】

◆矢沢宏太(やざわ・こうた)2000年(平12)8月2日生まれ、東京都町田市出身。忠生中では町田シニアに所属。藤嶺藤沢では1年秋からエース。甲子園出場はなく3年夏は南神奈川大会8強。高校通算32本塁打。日体大では1年春から外野手で出場し、1年秋には初登板。2年秋に外野手で、3年秋は投手で、今春は指名打者でベストナイン受賞。7月の国際大会「ハーレム・ベースボール・ウイーク」で大学日本代表。首都大学リーグ通算12勝、5本塁打。173センチ、71キロ。左投げ左打ち。