DeNAを倒した勢いはどこへ? 阪神が1位ヤクルトに投打で完敗し、アドバンテージの1勝を含め0勝2敗となった。

先発西勇輝投手(31)が初回にオスナに先制3ランを浴びるなど3回までに5失点。中24日の調整期間をもらい、今季3試合で1勝1敗、防御率0・86と好相性のヤクルトとの初戦を任されたが、期待に応えられなかった。 初回は簡単に2死を取ったが、山田と村上に連続四球を与え、オスナに内角シュートを左翼席へ運ばれた。矢野監督は「結果的には四球がもったいない。丁寧さというところがちょっと外れて四球になって…。本塁打は結構うまく打たれたんで。言うほど簡単じゃないけど」と厳しい表情だ。

打線も小川に沈黙した。2回に大山が今CS4戦目で初安打となる左二塁打で無死二塁の好機をつくったが、後続がない。期待の佐藤輝も4の0で3三振を喫し、ヤクルトを2本上回る9安打を放ちながらも、2併殺の6残塁。6回に島田の適時打で1点をかえすのが精いっぱいで、投打ともに精彩を欠く完敗だった。

日本シリーズ出場をかけたプレーオフとCSで、0勝2敗から突破した例は26回中、17年DeNAの1回しかない。それでも矢野監督は前を向いた。「オレらは4つ勝つ必要があって、それをやるだけ。何も変わらない。4つ勝つという試合の中の采配なんで。ファーストステージとは違うんだから」。初戦を落とせば王手をかけられるファーストステージとは違い、最大6試合で2敗まではできる。もちろん、13日も敗れて王手をかけられるわけにはいかない。藤浪で勝って、下克上ドラマを本格化させる。【石橋隆雄】

▼阪神がCSファイナルステージで第<1>戦を落とし、ヤクルトのアドバンテージ1勝と合わせ0勝2敗となった。日本シリーズをかけたプレーオフ、CSで0勝2敗となった球団は昨年まで26度。ここから日本シリーズに進んだのは、17年DeNAが広島に■●↓○○○○の1度だけ。突破率4%の狭き門だ。

▼レギュラーシーズン勝率5割未満でCSファイナルステージ進出は、今回の阪神が5チーム目。いずれもセ・リーグ球団だ。これで全球団が第<1>戦を●となった。過去の4球団はすべてそのまま同ステージで敗退しており、阪神には厳しい数字が並ぶ。

 

○…途中出場のマルテが、1軍では今季初の三塁の守備についた。6点を追う8回先頭で代打で出場し、左翼線への二塁打で出塁。2死から近本が左前打を放ち、本塁に突っ込んだが憤死した。そのまま三塁守備に就き、守備機会はなかった。矢野監督は「短期決戦でバッターの状態や相手ピッチャーとかいろいろ考えたら、そういうことも必要かなと。今日やれたのはよかった」と説明。三塁守備は20年に14試合、21年は1試合だけだった。

○…島本が3年ぶりのポストシーズン登板で、1イニングを無失点に抑えた。1-7の8回に4番手で登場。2死から長岡を歩かせたが代打キブレハンを三振に打ち取り、打者4人から2三振を奪った。ポストシーズンは19年のファイナルステージ巨人戦の第2、3戦以来。20年11月にトミー・ジョン手術を受けたが、あらためて復活を示した。「ビハインドの場面だったので、リズム良く、攻撃につながるような投球をしたいと思っていました。次の登板へ向けて、しっかり準備します」と引き締めた。

▽福原投手コーチ(西勇について)「細心の注意を払った中で、フォアボールは痛かったなと。制球に苦しんでいたところもあるし、慎重になり過ぎたのもある。打者が西の球種を見極めて、狙い球を絞っているところもありました」

▽阪神島田(2安打1打点で今CS初スタメン起用に応え)「なんとかしてやろうという気持ちしかなかった」

○…藤浪は13日のヤクルト戦で7年ぶりのCS先発マウンドに立つ。DeNAとのファーストステージでは出番がなく、中継ぎ登板した9月23日の広島戦以来の1軍登板となる。15年のファーストステージ巨人初戦以来のCS先発に向け、「あまり後先を考えずに投げられる。目の前の1人により集中できれば」。ヤクルト戦は今季先発2試合で防御率2・08と相性が良く、快投に期待がかかる。

○…ドラフト4位ルーキー前川が、宮崎でのフェニックスリーグで場外弾を含むマルチ安打をマークした。ヤクルト戦に5番DHで出場。2回に右翼線二塁打で長打を放つと、3点を追う4回は変化球を完璧に捉え、右翼場外へアーチを描いた。同リーグは試合前まで2戦7打数無安打。「自分のスイングができていない。まずは振っていかないと始まらない」と話していた反省を結果につなげた。試合は先発及川が5回2/3で11失点するなど大敗した。