追い込まれた。「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」ファイナルステージの第2戦(神宮)で阪神がヤクルトに完敗。優勝アドバンテージを含め0勝3敗となった。

矢野燿大監督(53)は今季初めて佐藤輝明内野手(23)をスタメンから外す決断を下したが、打線爆発とはいかなかった。0勝3敗から日本シリーズに進んだケースは過去1度もない。王手をかけられて迎える14日の第3戦は、矢野阪神ラストゲームとなるのか、それとも奇跡へ夢をつなぐか-。

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冷たい秋雨が降り続く神宮で、矢野阪神が崖っぷちに追い込まれた。逆転負けでの連敗でヤクルトに王手をかけられた。0勝3敗からのCSファイナル突破は過去1度もない。厳しい現実を前にも矢野監督は「何ができるかっていうのをオレも楽しみにしているし、今までやってきたものは明日(14日)出したい。もちろん負ければ終わり。みんなそういう思いでやってくれると思う。もう思い切り挑戦するだけ」と、戦う姿勢を見せた。

初回に近本の適時打で先制し一気に大量点で流れに乗りたかったが、この日5番三塁でスタメン起用したマルテが三邪飛、6番原口も遊飛とつづけなかった。ヤクルトの7安打を上回る11安打を放ったが、打線がつながらなかった。「粘ったけど1本でなかった。向こうは本塁打。こっちは長打という感じにはいかなかった」と、3被弾を食らったヤクルト打線の破壊力にやられた。

レギュラーシーズン143試合を含め全試合出場していた佐藤輝を今季初めてスタメンから外す勝負手も不発に終わった。井上ヘッドコーチは「短期決戦なんで、調子がいいものを使っていく。何がベストと考えた時に、輝を出すよりマルテの方がいいと選択した。佐藤輝中心のチームではない。みんなで一致団結しないと勝てないチームなので」と説明した。佐藤輝は6回の代打(四球)から途中出場。8回には清水から見逃し三振を喫し悔しい表情でベンチへ戻った。

1回裏の38分間に及ぶ中断など、雨が続くグラウンドでたびたび土入れが行われた。投手も野手もイライラの募るようなコンディションだった。だが、最後まであきらめず、9回に抑えのマクガフから1点を奪った。

第3戦の先発は今季投手3冠の青柳晃洋投手(28)。エースで窮地を打開する。まだ矢野阪神を終えるわけにはいかない。突破率0%からの下克上ドラマに挑戦する。【石橋隆雄】

○…北條史也内野手が絶好機で凡退した。4点ビハインドの6回2死満塁で代打で登場。1発が出れば同点の場面だったが、ヤクルト久保の初球を打ち上げ中飛に倒れた。19年CSファーストステージ、DeNAとの第1戦では5打点で6点差大逆転勝利を導いた「CS男」が不発。8回2死一塁の第2打席でも左飛に倒れた。

○…近本光司外野手がCS5試合連続安打となる先制打を放った。初回1死三塁でヤクルト先発サイスニードから右前適時打。7回には左前打、9回には四球で出塁し、いずれもマルテの犠飛で生還した。全3得点に絡んだが「勝たないと意味がない」。負ければ敗退となる14日の戦いに向けて「僕らは僕らの野球をするだけ。どっちにしろ4勝しないとダメだったんで。頑張ります」と語り、バスへと乗り込んだ。

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