ヤクルト高津臣吾監督(53)がメリハリを利かせたタクトで、29年ぶりの歴史を刻んだ。勝つか引き分けでCSファイナルステージ突破が決まる一戦で、キャプテンで右打ちの山田哲人内野手(30)を外し、3番二塁に左打ちの宮本丈内野手(27)を起用。その宮本が1安打2四球で、7回の逆転へとつながった。さらに直後の8回には清水昇投手(25)をつぎ込んだ。シーズン中は1度もなかった3連投を解除。盤石の継投で逃げ切り、92、93年以来の2年連続日本シリーズ出場をつかんだ。

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9回2死走者なし。最後の1人となっても、高津監督はベンチで腕を組み、じっと戦況を見守り続けた。マクガフが阪神原口を空振り三振。その瞬間、緊張をほどき、コーチたちとハイタッチで喜んだ。

「毎回、高くなっていく。外国人選手が中心となって高く上げてくれるので、怖いですね。でも、すごくうれしいです」

今年2度目の胴上げは5回。雨上がりの神宮の夜空へ、笑みがはじけた。

「セ・リーグのチャンピオンとなって、ここで負けるわけにはいかない」と臨んだCSファイナルステージは、負けなし3連勝で突破した。「選手の頑張りが全て」とたたえたが、この日はメリハリを目いっぱい利かせたタクトで白星をたぐり寄せた。

3番二塁に連ねた名前は「宮本」。大事な1戦でもキャプテン山田に代えた。難敵・青柳攻略へ、9月の2試合で打った手だった。対戦成績で6打数2安打1本塁打の宮本を村上の前に据えた。打線は6回まで0に封じられたが、宮本自身は1安打1四球。さらに、1点差に追い上げた7回2死一、二塁では、2番手浜地からも四球を選び、村上による逆転につなげた。

シーズン中には打たなかった手もあった。逆転直後の8回、マウンドに送ったのは清水。今季初の3連投は、CS開幕前「シーズン中は気を使いながら登板させてきた。(ポストシーズンは最長で)13試合。全力で、食い気味でいってもらいたい」と言った通りのリミッター解除だった。清水は0で9回につないだ。「毎日準備して、緊張して、すごく難しいポジション。やり続けたリリーフピッチャーには本当に感謝します」と頭を下げた。

野村克也監督に並ぶ2年連続日本シリーズ出場。その恩師もなし得なかった目標がある。

「初の連続日本一を目指して頑張りたいと思います!」。

新たな歴史をつくる権利を得た。【古川真弥】

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