涙の別れだ。今季限りで退任する阪神矢野燿大監督(53)が15日、大阪市内の阪神電鉄本社で藤原崇起オーナー(70)にシーズン終了報告を行い、退任会見に臨んだ。42分間に及んだ会見では夢やファンへの感謝を口にして涙する場面も。物議を醸したキャンプイン前日の退任表明についても語った。激動の4年間を終えた指揮官から思いがあふれ出た。
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我慢できなかった。CSファイナル敗退から一夜。会見に臨んだ矢野監督は今後、野球とどうかかわっていくかを問われると、涙を流した。「僕の夢はまだ続くので。子どもたちを笑顔にしていくっていうのも僕の大きな夢ですし…」。そこまで言うと、約11秒の沈黙。声を詰まらせながら「しばらくはゆっくりしますけど、また挑戦していきたいなと思っています」と続けた。
さらにファンへの思いを語り始めると、もう涙が止まらない。「勝つ喜び、優勝の喜びはみなさんに届けられなかったですけど、タイガースの選手たちの魅力っていうのは伝わったところがあったのかなと思っています」。19年の就任から徹底してきた諦めない、超積極的野球。「強いチームは作れなかったけど、全員で良いチームは作れたかなと思う」と胸を張った。
会見では今季の苦悩がにじみ出た。異例とも言えるキャンプイン前日の退任表明。チームは開幕9連敗とどん底に落ちた。「結果的に開幕のスタートにつまずく原因になった可能性もある。迷惑をかけてしまったというのは素直な部分ではある」と表明後に揺れ動いた心情を明かした。最終的には3位に滑り込み、4年連続Aクラス。「本当に選手たちに助けてもらった」と感謝した。
矢野監督は4年間を振り返って「夢と理想を語りながらやる野球は貫けた、やり切ったという思いは持っている」と力を込めた。ドラフトで獲得した近本、佐藤輝らチームの屋台骨となる選手を中心に据えた。2軍監督時代から指導する青柳は球界を代表する投手に成長。湯浅、浜地ら若手投手も積極的に起用した。育成に力を注ぎ、選手から慕われた指揮官は「全員頑張ってほしいし、ユニホームを脱いだやつにも頑張ってもらいたい」。最後は優しい表情で選手にエールを送った。【桝井聡】



