オリックスが執念の継投で反撃の1勝を挙げた。「SMBC日本シリーズ2022」の第4戦(京セラドーム大阪)。1点リードの5回1死三塁で、宇田川優希投手(23)が救援登板し、2者連続三振でピンチを脱した。6回も抑えると、3番手山崎颯一郎投手(24)も2回無安打無失点の力投。最後はジェイコブ・ワゲスパック投手(28)が締めた。炎の「USJ継投」で逃げ切り、1勝2敗1分け。26年ぶり5度目の日本一へ、第5戦でタイに持ち込む。

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タクトは鈍らなかった。劣勢が続いた日本シリーズでも中嶋監督の決断力はさえた。1点リードの5回1死三塁。指揮官はベンチを出た。先発山岡を70球で代え、今季途中に支配下選手登録された宇田川をコール。“秘密兵器”の剛球右腕をマウンドに送り込んだ。

「あそこは三振の取れる投手を。その選択肢しかなかった。(宇田川投入は)ずっと考えてました」

外野フライすら許されない状況。指揮官が期待を寄せる剛腕は「早くから行くかもしれない。心の準備はできていた」とひるまなかった。

集中を高め、フルスロットルで腕を振った。「何も考えてなかったです!」。心は熱く、頭は冷静に。宇田川は逆境に強い。「ピンチの場面は意外とゾーンに入れる。ランナーがいる方が『逆に大丈夫』という時がある」。2番山崎に得意のフォークを多投。最後は142キロフォークで空振り三振を奪った。2死から山田を迎え、真っすぐでカウントを追い込むと、フォークで見逃し三振に。力強く拳を握り絶叫した。

「内心、焦りもあった。1-0だったのと、まだ日本シリーズ1勝もできてなかったので」

闘志をむき出しに、イニングをまたいだ。6回先頭で「対戦を楽しみにしていた」と村上を迎える。1点差で、全球直球勝負-。結果は四球だったが、後続を仕留めた。1回2/3で4奪三振無失点。日本シリーズ初白星ゲットとともに自己最速を更新する159キロを計測。あの日の決断は間違っていなかった。

20年10月26日、仙台大から育成ドラフト3位で指名された。育成なら入団拒否の姿勢を全球団に伝えており、困惑の指名。「迷いましたけど、悔いはないです」。剛腕は夢をかなえた。

山崎颯も2イニングを無安打無失点。「宇田川が良い投球をしたので、自分も負けないように」と同学年の絆でバトンをつないだ。炎の連続「回またぎ」の後は、ワゲスパックが9回を締めて「USJリレー」が完成。指揮官は「かなりしんどかったです…」と苦笑いを浮かべながらも「期待してます。頼りにしている」と自慢の救援陣を誇りに思った。

強力救援陣が強打のヤクルトを止めた。これで1勝2敗1分け。27日に勝てば、タイに戻せる。オリックスが息を吹き返した。【真柴健】

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