阪神前川右京外野手(19)がバックスクリーン越え弾を放り込んだ。全体練習終了後の個別練習のこと。それまでは逆方向への当たりが多かったが「ちょっとホームラン打ちたいなと思って」強振した。マシンが吐き出したボールは快音を残し、青空を切り裂いた。中堅バックスクリーン横のスコアボードの上をいく。「入ったなとは思ったが、越えるとは思わなかった。最後にいい締めで終われた」。衝撃の1発にファンは沸いたが、本人はいたって冷静だった。

あくまで“締め”として飛距離に走ったが、この日ケージ内で振った計226スイングのうち、8割近くが逆方向の中堅から左翼に集まった。「左中間からセンターをしっかり打てるように」。実戦向きな打撃を重ねている。

甲子園の試合でバックスクリーン弾を放てば、今季なら100万円の賞金が贈られていた。「香水買いたいですね。匂いフェチなので」と語る19歳はまだあどけない。だがバットを持つと堅実そのものだ。「このキャンプでは逆方向に放り込めるように。今は低い打球だが、もっといい打ち方でやっていきたい」。流しで飛距離が生まれれば、大砲はもう止められない。【前山慎治】

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