東京ドームに鳴り響いた「東京音頭」に乗せられるように“ヤクルト打線”が火を噴いた。侍ジャパンの新4番村上が口火を切った。8回1死一塁、巨人の育成京本の142キロを振り抜き、右中間へ特大の同点2ラン。3歩の“確信歩き”で2試合連発を決め、3冠王の貫禄を示した。直後、5番山田が育成堀岡から左翼席へ決勝ソロ。2者連発で試合をひっくり返した。

7回の攻撃前、それまで無安打だったヤクルト勢に“追い風”があった。SNSでのファンのリクエストの結果、ラッキーセブンでヤクルトのチーム応援歌「東京音頭」が流れた。燕党は神宮と同じく傘を広げて音に乗り、一部の巨人ファンも応援タオルを掲げる、シーズン中には見られない珍しい光景。満員の4万787人からもどよめきが起こった。

軽快なリズムで潮目が変わった。村上、山田の2者連発だけでは終わらない。9回先頭、リードオフマン塩見が鍬原の直球を左中間席に運ぶソロ。さらに2死から村上が外角低めスプリットを左中間席まで運び、2打席連発でダメ押しした。終わってみれば3人で4発6打点と大暴れだった。

村上が「1番から9番までどこでも点が取れる打線なので、皆さま方の力をすごく感じました」と周りを立てれば、5番に座る山田も「心強いですし、目の前で村上がホームランを打って、すごい刺激になりますし。本当に頼りになるバッターだと思います」と後輩をたたえた。セ界王者打線の主軸が、日本代表でもノリノリで快音を連発した。【小早川宗一郎】

○…「吹田の主婦」が2回無失点で日の丸デビューした。山崎颯が逆転直後の8回から4番手で登板。150キロ超の直球とフォークの緩急で打者6人を完璧に抑えた。「日本シリーズから期間は短くぶっつけ本番でしたが、なんとか調整できました」と、10月30日の日本シリーズ最終戦から1週間で対応した。20年のファン感謝デーで料理対決審査に上半身裸エプロン姿で登場してから「吹田の主婦」の愛称で人気者に。この日も名前がアナウンスされると拍手が響いた。

○…中野が2試合連続スタメン出場した。2打数無安打に終わったものの、本職の遊撃で6回まで出場。5日の日本ハム戦は二塁手として先発しており、二遊間を守れる器用さでアピールした。近本はタイブレークの無死一塁から代打で登場。犠打を試みるも捕手前に転がり、走者を進められなかったが、本番を想定した実戦的な役割を任せられた。裏の守備では左翼に就き、5日の同戦の中堅でのスタメンと合わせてユーティリティー性を見せた。

○…経験豊富な甲斐がしっかり勝ちをつかんだ。前日は途中からの出番だったが、この日は「8番捕手」でスタメンマスクをかぶり、個性の違う4投手をリード。バットでも存在感を見せた。村上、山田の1発で逆転した8回、なおも2死三塁から巨人堀岡のスライダーを捉え、中前適時打でリードを広げた。

○…守護神候補の湯浅が、上々の日の丸デビューを飾った。2点ビハインドの7回に3番手で登板。最速150キロの直球と宝刀フォークを武器に、保科を二ゴロ、北村を空振り三振、増田陸三ゴロに打ち取り、注文通りの1回3人斬りで圧倒。「チームに流れを持ってこれるようにしっかり3人に抑えようと頑張りました。アツアツなピッチングができました」。直後に打線が村上、山田の2者連続アーチで逆転し、代表初登板で勝利投手となった。

▽西川(8回、山田の決勝ソロの後に右越え三塁打)「チームが勝ち越したので、その流れを止めずつなぐことができて良かったです」

▽塩見(9回先頭、鍬原から左中間席へソロを放ち)「いつもと違う緊張感でなかなか自分の動きができませんでしたが、最後、思い切って振ったら当たったので良かったです」

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