プロ野球の快記録や珍記録を振り返る連載「データで見る22年」。第4回はロッテ松川虎生(19)を取り上げます。

    ◇    ◇    ◇

松川が高卒1年目で76試合に出場した。

今季は開幕戦から先発出場。2リーグ制後、高卒新人の開幕スタメンマスクは55年谷本(大映)06年炭谷(西武)に次ぎ3人目だった。以降もコンスタントに出場を重ね、先発は70試合。70試合も捕手で先発した高卒ルーキーは、57年に85試合に出た醍醐(毎日)以来65年ぶり。ドラフト制後では、89年谷繁(大洋)の45試合を上回り、最も先発の回数が多かった。

「データで見る ロッテ編」PDFはこちら

先発マスクをかぶった試合では37勝33敗の勝率5割2分9厘。チームの勝率が4割8分6厘の負け越しだったから、他の捕手より勝利に貢献したと言えるだろう。他球団の捕手と比べてもパ・リーグでは伏見(オリックス)甲斐(ソフトバンク)に次ぐ勝率。3位西武の森を上回って「Aクラス」入りだった。また、50試合以上に先発した新人捕手は、高卒に限らず松川で35人目になるが、勝率5割2分9厘はその中で10位と健闘。松川のようにチームが負け越しも、先発時の勝率では5割以上だったのは、59年上田(広島)80年大石(西武)97年清水(ロッテ)に次ぎ4人目。高卒では松川が唯一だ。

勝利への貢献度は高い松川だが、課題はバッティング。今季は212打席に立ち、185打数32安打の打率1割7分3厘。2リーグ制後に200打席以上立った新人では、4番目に低い数字だった。特に長打は二塁打の5本だけで、長打率2割は89年福沢(ロッテ)09年細山田(横浜)に次ぐ3位の低さ、高卒新人ではワーストと、打撃ではプロの壁にはね返された。本塁打量産は難しいが、二塁打、三塁打を増やして、打撃でもチームの勝利を支える存在を目指したい。【多田周平】