ソフトバンク今宮健太内野手(31)が、日刊スポーツの新春インタビューに応じ、「寒行(かんぎょう)」の全容を明かした。1月に長兄が住職を務める大分市内の一心寺に足を運び、水温の低い川に漬かる荒行だ。今年もキャリアハイの成績を残した22年に続く極寒トレーニングに臨み、「優勝して藤本監督のヒゲをそります」と頼もしく宣言した。【聞き手=只松憲】

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今宮 日刊スポーツ読者のみなさま、明けましておめでとうございます。福岡ソフトバンクホークスの今宮健太です。昨年もたくさんのご声援をありがとうございました!

-1月はどんな自主トレを行う予定ですか

今宮 去年に続き、今年も寒行を行います。長兄が大分市内の一心寺で住職を務めているので、そこに足を運んで。寒行を最初にやったのは、プロ2年目のオフでした。

-具体的にどんな行を

今宮 寒行は滝に打たれるイメージがありますが、僕の場合は滝には打たれません。極寒の中で川に入り、自分で川の水を体にかけまくります。一番寒い時で水温は2度でした。

-時間はどのぐらい

今宮 15分を1セットです。2セットは耐えられないです(笑い)。

-寒行は1日で完結

今宮 本当は長期にわたってやるんですけど、僕らはなかなか日程が取れないので1発です。

-お経を唱えながら

今宮 そうです。目の前に看板を作ってもらって、そのお経を読みながらやります。お経を読み終わったら、自分の体に水をかける時間。気合を入れて「今年はやるぞ」「今年は絶対けがをしないぞ」と思いながらかけまくります。

-水をかぶる時は勇気がいる

今宮 いえ、まずは川に入る時にすごく勇気がいります。川に入ってしまえばもう逃げられないので、あとは気力。少しでも遊び心を持っていると、風邪をひいてしまうことにつながるんです。寒行をやる時はかなり真剣です。

-どんな効果が

今宮 正直、これという効果を求めてやっていません。今年1年の始まりとして寒行をすると、体がスカッとするんですよ。すごく冷たい水に入って、その後に温かいお風呂に入る。お風呂を上がった時の爽快感を感じた時に「今年も1年が始まるぞ」という感覚になります。その感覚を求めているので、いい成績が出るようにという願掛けではないです。

-去年は8年ぶりに寒行を行い、打率2割9分6厘のキャリアハイを残した

今宮 去年は大きな故障がなく1年戦えたので、好成績が出たと思っています。けがをしてしまうとまともに野球はできないですから。強いて言うなら、寒行をしたことによって、気持ち的に強くなったのかなっていうのはあるかもしれないですね。

-一心寺は八重桜がきれいと聞く

今宮 桜の季節になるとすごいですよ。きれいです。お寺の敷地には桜の木がたくさん並んでいます。

-23年の始まりもストイックになりそう。今年の目標を漢字一文字で表すと

今宮 「無」ですね。これは「無欲」という意味です。去年は、ホームランを打つという欲を捨てたことで、バットを振りすぎない打撃ができました。打率3割目前だったのは、そのおかげです。今年も「無欲」でいきますよ。

-藤本監督はうさぎ年生まれ。年男イヤーで胴上げしたい

今宮 そうですね。今年は優勝して藤本監督のヒゲをそります。それが目標です。去年もそういう目標があったけど実現できなかったので。しっかりと断髪式ができるように。断髪ではないか…。そらせていただきたいですし、やっぱりあのひげはそってみたいでしょう(笑い)。

◆22年の今宮 開幕から打撃好調で5月は月間打率4割1分9厘をマーク。最終的には5年ぶりに規定打席に到達し、打率2割9分6厘、出塁率3割5分2厘はプロ13年目でキャリアハイだった。5年ぶりのベストナインも受賞。メジャー通算109発の両打ち助っ人・ガルビスとの遊撃手争いを制し、選手会長としてもチームを引っ張った。

◆球界の主な寒行トレ 近年では中日柳が、21年の開幕前に愛知県内で滝行に挑戦。同年はセ・リーグの最優秀防御率、最多奪三振を獲得するなどブレークした。翌22年1月は、同所で日本ハム立野、DeNA東、中日笠原も滝行を敢行。他にも阪神藤田、巨人井納、ヤクルト一場らが滝に打たれて精神力を鍛えた例がある。

◆今宮健太(いまみや・けんた)1991年(平3)7月15日生まれ、大分県別府市出身。大分・明豊では2年春と3年春夏の3度甲子園に出場した。09年ドラフト1位でソフトバンク入団。3年目の12年から主力に定着し、13年から5年連続で遊撃手のゴールデングラブ賞。14、17、22年はベストナインに輝いた。172センチ、76キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸は3億円プラス出来高で、23年は2年契約の1年目になる。