中日立浪和義監督(53)が就任2年目へ向けて、「競争」をテーマに掲げた。最下位に終わった1年目の昨季は若手の積極起用で岡林、土田らが台頭。12年ぶりの優勝を公言し、来日8年目のビシエドを含め助っ人にも競争意識を植え付け、強竜打線復活にムチを振るうことを明かした。大型トレードを断行したオフから今季への期待など、元日からたっぷり語った。
◇ ◇ ◇
-明けましておめでとうございます。監督就任1年目を振り返ると…
立浪監督 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。昨年はある程度、若い選手を使って、投手陣がある程度計算できると思っていた。順位のことは考えていなかった。自分で決めた方針をやって、思い通りやれた。若い選手を思いきって使えた。石川昂のケガとか誤算はあったが、岡林のようにシーズンを乗り切った選手はいる。高橋宏にしても間隔を空けながら1シーズンをもった。これから楽しみな面も、課題もたくさん出たシーズンになったのが正直な気持ち。
-2年目の今季は
立浪監督 (チーム内で)競争していかないといけない。今季はシンプルに勝ちにつながる選手を使っていく。最終的にはバランスのいいオーダーにできるようにしたい。そういう方針でやっていきたい。
-2月のキャンプの変更点は
立浪監督 休みが4回の予定。最初の2クールは秋から続けていくことをやって、実戦をどんどん入れる(2月は昨春から倍増でオープン戦を含め10試合)。課題の本塁へのタッチプレーや重盗だったり、点が取れないのに無駄な点を与えることが多かった。午前中は走者を想定したシートノックなどチーム的な練習を多めにやりたい。このオフにどれだけ自覚をもってやれるかが、キャンプで生きるも殺すも大事だと思う。
-オフから阿部、京田を放出するなどトレードを積極的にした
立浪監督 1年戦って、思い切って変えていかないと変わらないと一番感じた。この10年でAクラスが1回。負けに慣れていると感じた。阿部も中日では(打点など)成績を残したが、三塁には高橋周も石川昂もいた。阿部を含めて、3人もいるポジション的なこともあった。京田の場合は、出だしでつまずいた。我々の力不足もあった。京田もまだまだチャンスはある。
-現役時に星野監督がトレードなどでチームを刷新した影響も
立浪監督 そんなことはない。1年戦って感じた。数年勝てていないチームと選手を見て感じた。脅すわけではないがプロですから。ファンの方は、強い中日が勝つことを望んでいる。
-1年目の昨季は、指揮官自ら選手を指導するなり接する場面が多かった
立浪監督 我々が入った時と今は全く違う。昨年は選手とも歩み寄りながら、やりやすい環境を少しでもと思ってやっていた。今年はコミュニケーションというより、力のある選手を使う。ある程度コーチに任せてやる。選手をじっくりと観察しようと思う。
-和田打撃コーチが昨秋キャンプに就任した
立浪監督 話を聞いていて、なるほどなというところはたくさんある。(中村)ノリも(和田)ベンちゃんも一流の打者。感覚で伝えるのが一番良くない。まだまだ伸び悩んでいる選手は、明らかにここは直さないといけないという部分がある。今年からは任せて見てみようと思う。
-今季の目標は
立浪監督 (契約期間が)3年という中で、田植えして、今年は形にして、3年目で結果と思っていた。(今季は)優勝を目指してやる。(昨季は優勝の)ヤクルトに勝ち越したが、1人1人のオーダーを比べた時に明らかに力の差を感じた。打線が違いすぎた。それでも勝ち越したのは不思議なこと。ヤクルトは最後に失速して80勝。(優勝するには)84、85勝は勝たないといけない。(中日は66勝で)結構、差を感じた。あれだけ点が取れないと投手も苦しくなる。メンバーが代わらないと良くなることはない。本気で変わる気がないと変わらない。
-昨季もリーグ最下位の62本塁打414得点と得点力不足に泣いた
立浪監督 昨年はもう少し打てれば上位にいけていた。はっきりと数字に出ている。うちは投手がいいと言われるが、ビジターではなかなか勝てない。まずは投手陣を整備してセンターラインを強化してから、打てるようにしていきたい。まずは守りが大事。
-昨季は2年目高橋宏が先発で19試合6勝
立浪監督 今年はもう少し登板間隔を詰めて1年を乗り切れば、自信になる。まだまだ19試合。10日空けていたが、詰めた登板に慣れていかないと。試合でしか体が覚えない。今年1年間、ローテーションを守ってくれればと思う。
-昨年の開幕投手は前年秋季キャンプから大野雄に決めていたが、今季は
立浪監督 まだ考えていない。今年の仕上がり具合もある。それからでもいいのかなと思う。
-楽天からトレードで獲得したベテラン涌井への期待は
立浪監督 昨年はベンチで見ていて、ビジターでもそこそこやってくれると感じたのは、小笠原と高橋宏。バンテリンドームでいいのは当然で、相手もそんなに打てない。ビジターではガラッと状況が変わる。その中で涌井は、風の強い千葉や、仙台の寒い球場でいろんなことを経験している。年齢も年齢だからバランスも考えながらやっていきたい。当然、ローテでシーズン2ケタ勝利は期待したい。
-投手では先発は大野雄、柳、小笠原、高橋宏、涌井と充実する。続くのは
立浪監督 ドラフト1位の仲地もそう、松葉も、鈴木博も。この時期はいつもいる。楽しみは上田とか、福島も橋本も。このあたりから出てきてほしい。
-根尾の先発への期待は
立浪監督 投手に代わってまだ半年。昨季は中継ぎで投げさせて経験を積まそうとスタートした。はじめは順調に来たが、投球フォームが少し思うようにいかない壁に当たっている。先発ローテに入るなら、相当なものを出さないと。本人が一番焦っていると思うが、焦らず1年かけて今年中に出てきてくれればいい。
-得点力強化へ、大砲候補アキーノを獲得した
立浪監督 一番欲しい長打力で可能性を秘めているが、粗さもある。配球も含め日本に順応しようと、やる気があれば変わる。右翼に当てはめると、肩の強さ、正確性は岡林以上。打撃をキャンプで見ながら。こればかりはやってみないとわからない。長打を秘めた可能性のある選手で、日本で何とか成功したい気持ちが強いので楽しみ。
-4番はビシエドか
立浪監督 アキーノは長打力があっても、ある程度の確実性も必要。ビシエドは打率的には問題ないが、元々ホームランバッターじゃない。ここ一番で内角を攻められ、打ちにいって止まらない。本人に変える意識がないと同じ結果になる。春に話をしながらやっていきたい。アルモンテが(4番の)1番候補。技術もあり長打も打てる勝負強い打者。ケガが少し多いが、以前中日にいたときより、体は絞っている。カリステを含め、競争意識は持ってもらわないといけない。
-遊撃土田への期待は
立浪監督 シーズンで自信をつけたのか、秋のキャンプで毎日ノックしてもケガせずにクリアした。最も成長を感じた。体は細いが体力もある。やってもらわないと困る選手。
-二塁は
立浪監督 新人にチャンスはたくさんある。村松も田中も福永もいる。競争してもらいたい。センターラインはある程度守れる選手を使いたい。長打が欠ける選手は守りとしぶとさ、足だったり、使える選手は使わないといけない。
-高橋周は三塁か
立浪監督 三塁守備がうまい選手。二塁も下手ではないが、動けないとダメ。二遊間は動ける選手を使いたい。ドラフトで動けて守れる選手を取った。
-三塁にはリハビリ中の石川昂が控える
立浪監督 競争で取っていかないと。昨年は我慢して使ったが、ケガで権利を失った。乗り越えていかないと。突き放すわけではないが、自分ではい上がってきて欲しい。
-岡林が定着した
立浪監督 シーズンを通してやったことは自信になったと思う。秋キャンプの練習を見ていても、自覚を持って練習をしていた。安心、過信、慢心することは一切見えなかった。普通にやれば、今年もやってくれるかなと期待している。
-外野を岡林、大島、アキーノと想定すると、鵜飼の起用法は
立浪監督 鵜飼はもう少し安定感が出たら変わってくる。練習する体力がないと、技術的なことが伸びない。課題は多いが、鵜飼や石川昂あたりが、レギュラーになってきた時が、本当に中日が強くなる時。
-打順で決まっているのは
立浪監督 今のところ、1番岡林くらい。あとはポジション的な問題はある。外国人はキャンプ、実戦で見て判断する。
-1年やってベストゲームと悔しかった試合は
立浪監督 良かったのは、開幕巨人戦で2戦逆転負けして、3戦目で逆転勝ちした試合。スタートを切れたことはうれしかった。負けた試合は9月13日DeNA戦(0-1で完封負け)。いろんなミスが重なった(けん制死2、走塁死3、野選1)。とんでもない日だった。こうも重なるものかとミスが出た。
-負けた日の過ごし方は
立浪監督 自宅に帰る時は、家族や犬がいるので紛れる。遠征だと、負けてからはコロナで外に出られなく、夜が長い。勝って過ごす次の日までと、負けて出発までの時間はずいぶん変わる。ビジターでよく負けているので、よく感じた。
-帰ってからやることは
立浪監督 試合の反省的なことはノートに書くようにしていた。今年に向けて、今後の反省を、そういう気持ちで。
-ノートも増えた
立浪監督 そんなことはない。あまりに負けると、書く気がしない(笑い)。
◆昨季の中日 13年ぶりに中日ユニホームに袖を通した立浪監督の開幕巨人戦は2試合連続逆転負けから、3戦目を延長逆転勝ち。Aクラス目前で足踏みしながら迎えた交流戦ではオリックス、楽天、ソフトバンクに勝ち越し。交流戦Vも視野に入れたが、ロッテ、日本ハム相手に痛恨の6連敗で失速した。スタメン三塁で起用した3年目石川昂の負傷離脱も響き、交流戦後は根尾の投手転向など策を探るも、浮上することなく最下位フィニッシュ。高橋宏、岡林、清水らの台頭は収穫だが、課題の得点力向上は積み残された。
◆今オフの中日補強 静かな就任1年目から2年目へ、立浪監督は積極的に動いた。ベテラン平田に戦力外通告をするなど血の入れ替えを促進。打点チーム2位阿部と楽天154勝右腕の涌井との交換トレードを皮切りに、正遊撃手だった京田とDeNA砂田をトレードした。現役ドラフトでは19年開幕左腕笠原をリストに載せ、DeNAから和製大砲候補として細川を獲得。捕手強化へロッテから加藤匠を金銭トレードで出戻り獲得し、さらなる捕手獲得も模索中だ。コーチ陣は和製大砲OBの和田一浩氏を1軍打撃、上田佳範氏を2軍打撃、守備力強化へOB森越祐人氏を2軍内野守備走塁で招聘(しょうへい)した。