阪神からポスティング制度を申請してメジャー挑戦を目指す藤浪晋太郎投手(28)の移籍先にアスレチックスが急浮上していることが10日、分かった。先発の駒が不足するア軍はメジャー契約を用意し、ローテ候補として獲得に動いているとみられる。さらにこの日、藤浪が近日中に渡米することも判明。交渉期限の日本時間15日午前7時が近づく中、ダイヤモンドバックス、レッドソックス、ジャイアンツなどとの争奪戦がいよいよ最終局面を迎える。

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太平洋の向こう側で、FUJINAMI争奪戦がいよいよ最終章に突入した。この日、藤浪が近日中に渡米することが判明。さらに複数の米球界関係者によると、アスレチックスも移籍先に急浮上していることも明らかになった。先発の駒不足に悩むア軍はメジャー契約を用意しているもよう。これまで最有力候補と目されていたダイヤモンドバックスやレッドソックス、ジャイアンツなどとの争奪戦の決着が近づいてきた。

新たに移籍先の候補に浮上したア軍は現在「再建モード」の真っただ中。先発陣、救援陣ともに駒不足が否めない状況だ。先発陣は左腕アービンと右腕ブラックバーン、カプリーリアンらが経験豊富といえるが、台所事情は厳しい。藤浪にとっては中継ぎ争いはもちろん、先発4、5番手争いに食い込める可能性も十分にあるチームといえる。ダイヤモンドバックスなどの他球団が救援陣の一角として高評価する中、先発ローテを狙える点も魅力的だ。

昨季の藤浪は2年連続で開幕投手を任され、16試合登板で3勝5敗、防御率3・38。160キロに迫る直球と150キロ前後のスプリットを最大の武器に、完全復調の気配を漂わせた。レギュラーシーズンでは8月以降は先発7試合のうち6試合でクオリティースタート(6回以上、自責点3以内)を達成している。同時に近年は中継ぎ登板でも類いまれな適性を披露しており、先発も中継ぎもできる希少な本格派として、米国で重宝されそうな情勢だ。

藤浪は昨年12月31日に自身のインスタグラムを更新し、「チャンスをもらえれば、人生をかけて思いっきり挑戦できればと思います!!」と決意表明。年明けの1月7日には阪神2軍本拠地の鳴尾浜球場で23年初ブルペンを済ませるなど、メジャー球を使っての準備も着々と進めている。大リーグ各球団との交渉期限は米東部時間1月14日午後5時(日本時間同15日午前7時)。ダイヤモンドバックスか、レッドソックスか、ジャイアンツか、はたまたアスレチックスか。いずれにせよ大器に朗報が届く可能性は、極めて高い。

◆藤浪晋太郎(ふじなみ・しんたろう)1994年(平6)4月12日生まれ、大阪府出身。大阪桐蔭3年時に甲子園で春夏制覇。12年ドラフト1位で4球団競合の末、阪神入団。1年目の13年にセ・リーグでは67年江夏(阪神)以来の高卒新人2ケタ勝利。15年最多奪三振。14年日米野球、17年WBC出場。21、22年開幕投手。197センチ、98キロ。右投げ右打ち。

◆アスレチックス投手事情 昨季は60勝102敗でア・リーグ西地区最下位。メジャー24位の防御率4・53に終わった投手陣の再建は急務とされる。先発は昨季チーム最多の9勝(13敗)をあげた28歳左腕アービンが唯一、規定投球回数に到達しただけ。現時点で今季先発ローテは28歳カプリーリアン、29歳ブラックバーンまでの3人が当確で、残り2、3枠を複数候補で争う見込み。救援陣は昨季11セーブを記録したクローザーのヒメネスら粒ぞろいながらも実績、層の厚さとも駒不足となっている。

◆ポスティングシステム 海外FA権取得前に大リーグへ移籍できる制度。日本野球機構(NPB)を通じて大リーグ機構(MLB)に契約可能選手として通知される。現在は入札による独占交渉ではなく、譲渡金支払い意思のある全球団と交渉できる。日本球団への譲渡金の規定は以下の通りとなる。契約額が2500万ドル以下の場合、金額の20%。契約金が2500万ドルを超えて5000万ドルまでの場合、最初の2500万ドルに20%、残りの2500万ドルに17・5%。契約金が5000万ドルを超えた場合、最初の2500万ドルに20%、次の2500万ドルに17・5%、5000万ドルを超えた額には15%がかかる。

◆オークランド・アスレチックス 1901年にフィラデルフィア・アスレチックスとして創設。カンザスシティーを経て68年からオークランドに本拠地移転。72年からの3連覇をはじめ、ワールドシリーズを通算9回制覇した。コロナ禍で短縮された20年に地区優勝を果たしたものの、財政難もあり、その後は主力を次々に放出。過去には、藪恵壹、岩村明憲、松井秀喜、岡島秀樹ら日本人選手が所属した。大谷翔平が所属するエンゼルスも同地区。

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