阪神青柳晃洋投手(29)が、23年シーズンの開幕投手を務めることが決定的となった。17日、静岡・沼津市内の愛鷹(あしたか)球場で自主トレを公開。岡田彰布監督(65)が求める開幕投手の理想に唯一合致する右腕。自ら3月のWBCの侍ジャパン最終メンバー30人から落選したことを明かすとともに、あらためて大役への強い覚悟を示した。虎のエースとして、チームを「開幕ダッシュ&アレ」に導く。

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まさに「地獄」だった。阪神青柳らが合同自主トレを行う静岡・沼津市内の愛鷹(あしたか)球場で午前9時から現地取材。午後0時半から「愛鷹名物」という球場スタンドの階段をダッシュで登るトレーニングが左翼ポールから始まった。下から階段をダッシュで上がり、座席を挟んで隣の階段をジョギングで下る。そのまま隣の階段をダッシュで登ることを繰り返し、右翼ポールのゴールを目指すものだった。

記者は「ぼちぼち取材が始まるだろう」と予想し、取材に備えてバックネット裏の後方で「高みの見物」をしていた時だった。

「見ているだけで、やらないんですか?」

先頭を走る青柳の鋭い視線が記者たちに注がれ、「3本だけでいいので」と。迷った末に決意し、「3本だけなら」と思ってトレーニングに飛び込んだ。階段上下3往復で離脱する記者がいる中、高校はラグビー、大学・社会人とアメフト選手としてプレーしていた私の「負けず嫌い魂」に火がついた。最初は「いける」と思っていたが、5本目あたりから足が上がらなくなった。途中で着ていたダウンを脱ぎ捨て、酸欠になりながら走り続けた。その約20分後に取材が始まったが、体重115キロの私は頭がくらくらした状態で、足が震えたまま取材を続けた。

青柳らは登りのみで約1500段ある階段を約20分かけてケロッとこなし、記者はポール間の半分で倒れかけた。あらためてプロ野球選手のすごさを、身をもって痛感した。【阪神担当 古財稜明】

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