あるぞ、半世紀ぶり開幕生え抜き打線!阪神井上広大外野手(21)が、オープン戦トップタイとなる推定125メートルの2号2ランを放った。

オリックスとのオープン戦(甲子園)に「7番左翼」で出場。4回に岡田彰布監督(65)も仰天のアーチを左翼席に掛けた。開幕左翼本命の新助っ人シェルドン・ノイジー外野手(28=アスレチックス)がけがで出遅れている状況だけに、スタメン奪取も十分あり得る。72年以来、51年ぶりとなる生え抜きスタメンで開幕を迎える可能性もある。

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打った瞬間に球場の誰もが確信した。4点を追う4回1死二塁の場面だ。カウント3-2から7番井上が、オリックスのドラフト1位曽谷が投じた149キロ内角球に反応。豪快なスイングで軽々と左翼席中段に突き刺した。左翼手が1歩も動けない125メートル弾。「しっかり振ることが本当に打席の中でできている。追い込まれてから、しっかりとスイングできることで安打や長打につながっている」。オープン戦トップタイの2本塁打、打率3割3分3厘と勢いが止まらない。

ベンチから見ていた岡田監督も思わず立ち上がった。若き大砲の1発に「ビックリしたよ。久しぶりに見たなあ、打った瞬間に。なんかつかんだものがあるんちゃうんかな」と目を細めた。

フルカウントでさらに集中力が増した。2月の沖縄・宜野座キャンプで今岡1軍打撃コーチが「3-2カウントは繊細に」とチームに呼びかけた言葉を頭にあった。本塁打を放った打席は2球で追い込まれながらも、際どいボール球を見切ってフルカウントに。最後は甘いボールを完璧に仕留めた。内容の濃い打席に打った本人も「しっかりと捉えられて良かった」と納得顔だ。

6日は侍ジャパンとの強化試合が待っている。メンバーには、2年連続で自主トレを行っている巨人岡本がメンバー入り。さらに、今オフに自主トレをした西武山川や、履正社の先輩・ヤクルト山田もいる。「師匠とやっと同じグラウンドに立てるんやって。見て学んで何かを引き出しにしたい」。岡本と同じグラウンドに立ってプレーするのは20年の3月8日の巨人戦以来。何倍もパワーアップした姿で試合に臨む。

開幕左翼の本命である助っ人ノイジーはキャンプ中に左腰の張りを訴えて試合から遠ざかっている。井上がスタメンに名前を連ねれば72年以来、51年ぶりに開幕で生え抜き打線が生まれる可能性もある。「そのために3月で結果を出して、開幕戦に出られるようにやっていきたい。本塁打も打ちたいし、打点も稼ぎたい」。実現のため、バットで結果を残し続ける。【三宅ひとみ】

▼阪神の開幕戦で先発全員が阪神に新人入団した開幕戦となると、72年4月9日中日戦以来、51年ぶりとなる。新人の1番・中村勝広、3番・望月充ら、9人全員が生え抜きだった。全員が日本人だった開幕戦は、78年4月1日巨人戦が最後。なおこのときのオーダーには、池辺巌(前ロッテ)、島野育夫、江本孟紀(ともに前南海)と3人の移籍選手がいた。

○…才木が6日の侍ジャパン戦(京セラドーム大阪)に先発する。前回登板の2月24日日本ハムとの練習試合(名護)では4回1安打無失点、無四球で好投した。「変化球ではなく、思いっきりまっすぐで勝負したい。三振狙ってまっすぐや、決め球のフォークをしっかり投げ切るとか。シンプルな投球、自分のスタイルで投げていきたい」と侍斬りへ意気込んだ。」

○…勝利の方程式入りを狙う2年目のK・ケラーが、強力な中軸3者三振に斬った。5回から3番手で登板。先頭の3番ゴンザレスには粘られたが10球目の149キロ真っすぐで見逃し三振。4番杉本はフォークで見逃し、2安打していた5番森もフォークで空振りに斬った。「クリーンアップの好打者相手に、しっかり抑えられて気持ちよかったよ」と笑顔。岡田監督も「良かったんちゃう? (全体的に)低めにいってたからな」と評価していた。

阪神西純(6日、侍ジャパンとの強化試合に登板予定)「なかなかない経験ができる試合だと思うので、しっかり楽しみながら、自分の投球ができたらいいなと思います」

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