雨がやんでも広島は強かった。1点ビハインドの9回2死一塁から、秋山翔吾外野手がチームを救った。

ヤクルトの抑え田口の初球スライダーにバット一閃(いっせん)。左翼方向に上がった飛球はそのままスタンドに吸い込まれた。ホームベース手前でヘルメットを放り投げると、チームメートから手荒い祝福を受けた。西武時代の12年9月5日ソフトバンク戦以来11年ぶりの劇的弾に「ちょっと年がいもなく、喜び過ぎてしまいました。それぐらいうれしい1本でした」と感情を爆発させた。

前夜に続き、この日も雨中の接戦となった。同点の6回に2点を勝ち越されるも、7回に1点を返した。雨が上がった終盤は中継ぎ陣が追加点を与えず、迎えた9回2死走者なしは代打堂林がストレートの四球を選んだ。「まだ、僕で終わるわけにはいかない」。7回まで2安打を放ち、ベンチでは最前列で声を張り上げていた秋山がひと振りで決めた。

お立ち台では後輩の坂倉と西川からウオーターシャワーを浴びせられ、再びびしょぬれとなった。16日の35歳となる自身の誕生日。「みんなが笑顔でホームに迎えてくれた景色というのは思い出すかな」と自らのバットでバースデーを前祝いした。

開幕3連敗したヤクルトに本拠地で連勝した。監督として初めてサヨナラ勝利を味わった新井監督は「興奮したね。ちょっと覚えていない。いやぁすごかったね。素晴らしい打撃でしたね」と開幕からチームをけん引するベテランに賛辞を送った。【前原淳】

▼秋山が逆転サヨナラ本塁打。秋山のサヨナラ弾は西武時代の12年9月5日ソフトバンク戦以来、11年ぶり2本目。11年以上のブランクでのサヨナラ弾は、19年青木(ヤクルト)が14年ぶりに打って以来になる。秋山は4月16日が誕生日で、誕生日前日のサヨナラ弾は21年9月10日レアード(ロッテ)以来で、セ・リーグでは80年9月21日谷沢(中日)に次いで2人目。ちなみに、誕生日にサヨナラ弾は54年土井垣(東映)と22年近藤(日本ハム)の2人だけで、セ・リーグではまだ誰も打っていない。

▼広島戸根が巨人時代の21年7月1日広島戦以来となる勝利でプロ通算6勝目。昨年12月に初開催された現役ドラフトで移籍した6投手のうち、勝利を挙げたのは8日ヤクルト戦の阪神大竹(前ソフトバンク)に次ぎ2人目。

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