WBCのように仲間と勝ち続ける-。ロッテ佐々木朗希投手(21)が7回3安打8奪三振無失点で、開幕から無傷の3連勝を飾った。

7回にNPB公式戦自己最速タイ164キロをマークするなど3試合連続0封し、連続無失点を20イニングに伸ばした。3試合連続の2ケタ奪三振は逃したが、許した安打は合計5本と圧倒。今季開幕カードで2試合連続完封負けを含む3連敗を喫した首位ソフトバンクに勝利し、貯金3としてゲーム差なしに迫った。吉井監督やチームメートの思いを背負った使命感で、敵討ちした88球だった。

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佐々木朗がベンチから身を乗り出した。9回を託した益田の1球1球に大声で叫んだ。アウトを取るたびに右腕を頭の上でグルグルと回し、先輩を鼓舞。「勝てると思って見ていましたし、必死にチーム一丸となって勝てて良かった」。切れ長の目をさらに細めて笑う。目尻の下に現れるしわは“朗希じわ”とファンにも愛され、喜びや達成感の象徴だ。

吉井監督にとって、ソフトバンク戦の開幕2戦連続完封負けは新監督史上初だった。相手4番の栗原には小島と種市が1発を浴びた。佐々木朗は「今日の勝ちはすごく大事になると思った。負けが込んだら嫌な印象がつきますし、相性(の悪さ)だったりを忘れさせるくらいの勢いを作りたいと思った」。自分が打たれるわけにはいかなかった。

先発したWBC準決勝メキシコ戦から1カ月。初回からの侍ジャパン対決で、2番近藤を163キロで空振り三振に切った。「前回よりも真っすぐの走りは良かったと思います」。3回は開幕カードで痛打された9番甲斐の胸元に直球を投げ込んだ。大きくのけぞらせて、パドレス・ダルビッシュ直伝のスライダーを連投。中飛に封じた。

4回はクリーンアップとの対戦でさらにギアを上げる。外角高めで空振り三振を喫した柳田は思わず「はやっ」とつぶやき脱帽。栗原には160超を続け、最後は149キロのフォークで空振り三振。牧原大には左打者にこの日初のスライダーも投じて迷わせた。「しっかり頭を使いながら良い攻めが出来た。ピッチャーが良かったら流れは来るし、壊したりもするので」。

7回でも疲れを感じさせず、公式戦自己最速タイの164キロを計測して栗原を3球三振に切った。今季初登板から20イニング無失点を積み重ね「一昨年より去年、去年よりも今年って、ピッチャーとしての耐性はついてきていると思います」。自己最長22イニング無失点を超えるどころか、どこまでゼロを並べるのか-。【鎌田直秀】

▽ロッテ吉井監督(佐々木朗の投球に)「(4回に)レバーをパーンと上げた感じがした。ゲームを動かす投球も出来るようになったのかな。ダルビッシュはそういうことが出来る投手で、僕が思考停止して楽しんで見ていられた。朗希もそうなりつつある。すごみが出てきた。この先どんな投手になるのか楽しみ」

▼佐々木朗が6日日本ハム戦から3戦3勝。奪三振は8個止まりで3試合連続2桁奪三振は逃したものの、この日も0点に抑えて開幕から20イニング連続無失点。シーズン初登板からオール無失点で3戦3勝は07年4月1日横浜戦7回0点→同8日阪神戦9回0点→同15日ヤクルト戦9回0点の高橋尚(巨人)以来、16年ぶり。ロッテでは69年木樽に次いで2人目だが、木樽は3試合ともリリーフ。先発でオール無失点の3戦3勝は球団史上初めて。

○…女房役の佐藤都が打でも佐々木朗を援護した。4回2死一、二塁からソフトバンク武田の直球を捉え、左中間を破る2点適時三塁打。「ショーハでいきました。ショートスイングでハードに打つイメージで」と福浦ヘッドや村田コーチの教えを体現。三塁塁上でのガッツポーズに「朗希に勝ちをつけるってところで、すごい舞いあがっちゃいました」と会心の一打だった。

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