覚醒の時が来た。阪神佐藤輝明内野手(24)が先制2号ソロ&ダメ押し3号2ランでマルチ本塁打を決めた。両チーム無得点で迎えた5回、先頭の第2打席。ヤクルト先発小川のフォークを右中間席へ豪快に放り込んだ。

「フォークで少し前に出されてしまいましたが、いい角度の打球を打てた。風もあったのでフェンスを越えてくれました」

3試合ぶりとなる1発で同期入団の先発村上を援護。だが、それだけにとどまらなかった。

3点リードの8回無死一塁でも3番手丸山翔の内角直球を右翼席中段に届かせた。1試合2本塁打は22年5月15日のDeNA戦以来で、複数本塁打は自身4度目。今季自身最多の1試合4打点だ。

「2本目はファーストスイングで打てたので良かった。いい感じになってきたので、続けていきたい」

連続安打も6試合に伸ばし、完全に復調気配。岡田監督も「この間の雨の中止からちょっと引っ張りだして。引っ張れ言うたんやけどな。だいぶようなってきた」と納得顔だ。

昨季は打率2割6分4厘、20本塁打、84打点。二塁打は1年目を10本上回る35本を記録した。それでも満足感はなかった。「ホームランでチームを助けたい」。流れを一気に引き寄せられるアーチを描くことにこだわっている。

26日巨人戦の今季1号は5点ビハインドの場面で反撃ののろしを上げる1発。このアーチをきっかけにチームはこの回4得点をたたき出した。この日も佐藤輝の2号から打線は活性化。5番としての役割が徐々に板についてきている。

30日ヤクルト戦の相手先発はオープン戦を含め、12イニングを1失点に封じられているドラフト1位右腕の吉村。「チームでしっかり点を取って勝ちたい。ヤクルトに勝たないとダメなので頑張ります」。4連勝へ、気持ちはもう切り替わっていた。【三宅ひとみ】