鹿屋体大(九州地区南部)が、初出場で8強入りを果たした。優勝4度を誇る強豪近大(関西学生)を5-1で破った。国立大としては1大会最多タイで、史上3校目の2勝を手にした。仙台大(仙台6大学)は、プロ注目の辻本倫太郎内野手(4年=北海)の3ランなどで東日本国際大(南東北)に逆転勝ち。明大(東京6大学)は7回コールドで危なげなく準々決勝進出を決めた。

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鹿児島から全国へ、鹿屋体大旋風を巻き起こす。藤井雅文監督(34)は「神宮で勝てるため、全日本で勝てるためにやってきた。どっしりプレーできたのがよかった」と話した。国立大の1大会2勝は98年京都教育大、10年北大に並び最多タイ。国立大の8強は17年和歌山大以来6年ぶりだ。

日本唯一の国立体育大学らしく、3年前から週に2コマ野球の授業が始まった。監督が講師を務め、選手全員が座学を受ける。栄養学、スポーツマネジメント、測定機器の扱い方まで網羅。4年生が1期生で「彼らが4年生になるとき、野球を変えたい」と指揮官は胸に秘めていた。

時間を割くのが戦術について。原俊太主将(4年=済々黌)は「自分たちの野球は『無形の陣形』です」と胸を張る。孫子の兵法にある言葉を野球に応用。守備のチーム、強力打線など、スタイルがないことが最強という考えだ。授業では、藤井監督が「野球のスタイルはいろいろあって、偏るとダメ」と解説する。

ベンチが一体となったチーム作り。監督は「自分たちがつくってきた野球がどこまで通用するかなというのが、次も楽しみです」と笑顔だった。【保坂恭子】