DeNAが初の交流戦優勝に王手をかけた。「日本生命セ・パ交流戦」のロッテ戦で、4番牧秀悟内野手(25)が佐々木朗希投手(21)から同点打、勝ち越し打を放つなど、4安打2打点の固め打ち。「千葉ロッテびっくり大作戦」として、牧のそっくりさん「牧軍団」が横浜スタジアムに集結。“ほぼ牧”の中で「本物の牧」を証明した。

巨人が楽天に敗れ、DeNAは0・5ゲーム差で交流戦単独首位に浮上。19日の日本ハム戦に勝つか引き分ければ、自力で初Vが決まる。

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やはりホンモノは違う。DeNA牧が4番の本領を発揮した。1点を追う4回、2死三塁でフォークをすくう左前打。先制された直後、追い込まれながらもすぐ同点に追い付いた。6回2死二塁では、決勝の三塁打で左中間を割った。スライダーの初球打ちで「有利なカウントで打てたのが要因だと思います。大事な一戦だったので、本当に勝ててよかった」と頼もしい。

ロッテ佐々木朗からは昨年も本塁打している。だが「去年よりもすごい投手になってますし。何とか食らい付いていけた」。ともに成長し、3月のWBCでは侍ジャパンの一員として世界一へ共闘した。17日、球場で久々の再会を果たした。顔を見るなり、右腕がかけてきた言葉は「偽者ですか?」だったという。

この日はロッテ陽動作戦として「牧軍団」の登場が予告されていた。牧軍団とは550件超の応募から厳選された、17人のそっくりさんたち。小学生や芸人など、年齢も職業もバラバラながら、どこか全員牧っぽい。牧“秀悟”ならぬ牧“集合”を佐々木朗も警戒? していた。ヒーローインタビューでも影武者に囲まれた牧は「全国からそっくりさんを呼んでいただいたんですけど、本物だということを証明できたかなと思います」と胸を張った。

一方でちょっとの無念さもある。8回の第4打席、本塁打が出ればサイクル安打達成だった。ロッテ東妻から打ったのは中堅への二塁打。「悔しかったです。なかなかない機会なので、強く打とうと思ってました」。二塁上で顔をしかめ、1発狙いだったことを正直に吐露した。

巨人が敗れて、いよいよ交流戦首位に立った。13日には三浦監督が「この1週間、優勝を意識してやろう」と言った。19日に日本ハムに引き分け以上なら実現する。牧は「まだないんですよ? 優勝。そこを目指して、今までにないことをできたらなと思います」。勝って自力で、つかむ。【鎌田良美】

▽DeNA三浦監督(牧の4安打に) これぞ4番という打撃でした。全国から集まってくれた牧秀悟から力をもらって。途中どれが本物か分からなくなった。今日はもう、牧の日でしょう。

▼DeNA牧が佐々木朗から同点打、勝ち越し打を含む3安打。昨年6月11日の初対戦(ZOZOマリン)でも先制本塁打を放っており、同投手からは通算6打数4安打、殊勲安打3本、長打3本で三振はない。佐々木朗から1試合3安打以上は21年5月27日のサンズ(阪神=3打数3安打)以来2人目で日本人打者は初めて。

▼牧の交流戦での勝利打点は佐野の2度を抜きチーム単独トップの通算3度目。交流戦通算打率3割9分4厘(66打数26安打)はソフトバンク近藤の4割1分3厘に次ぐ2位、26安打は近藤に並ぶ最多タイ。残り1試合で交流戦では球団初の首位打者なるか。

▽DeNA森原(同点の6回を3人で抑えて2勝目) 3人で終わることにこだわりを持ってやっている。投手陣も1人1人、1球1球、魂を込めてやれてると思います。

▽DeNA石田(ソロ1発のみの5回1安打1失点) 感覚はよかったです。バランスよく投げられている中で、先頭に四球を与えてしまうことが数試合続いていることは反省点です。

◆今日のDeNA得失点率差 9回終了の場合、DeNAが0-1で敗れた時は得失点率差が+・141となり、0-2では+・134。ソフトバンクは+・135(・1349)で終了しており、DeNAは負けても1点差ならばソフトバンクを上回れる。

◆交流戦優勝決定方式 勝率1位を優勝とし、賞金3000万円。同率で並んだ場合は(1)勝利数(2)直接対戦成績(2球団の場合)(3)得失点率差(4)自責点率差(5)チーム打率(6)22年交流戦順位を比較する。

【動画】牧秀悟、令和の怪物から同点打 フォークをきっちり合わせて左前へ運ぶ