ありがとう、森下! 阪神ドラフト1位ルーキーの森下翔太外野手(22)が値千金すぎるプロ初アーチを決め、苦しむ虎を救った。両チーム無得点で迎えた8回裏、先頭で中堅左に決勝ソロを運んだ。新人プロ1号本塁打による1-0勝利は球団史上初の快挙だ。前夜痛恨の走塁ミスで競り負けていたチームは3連敗を阻止し、単独首位を死守。11日からの首位攻防DeNA3連戦(倉敷、甲子園)を前に、虎が息を吹き返した。

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森下が打ち上げた白球が、甲子園の虎党を熱狂させた。4万2609人のメガホン音が心地いい。

「『うわー!』ってなっているのは分かりましたけど、そんなに耳に入ってる感じではなく、意外と落ち着いていましたね」

ダイヤモンドを1周しながら、冷静にファンの歓喜の声を聞いた。新人のプロ1号が「1-0」勝利の決勝弾となったのは、猛虎史で初めて。30試合、96打席目で飛び出した待望の1発が接戦にケリをつけた。

「フォアボールでもデッドボールでも絶対に出塁したいと思っていた。そういう意識でいった結果、いい方向に飛んだかなと思っています」

思いを込めて、指1本分程度、バットを短く持った。「出塁をメインに考えて…」。必死だった。代わったばかりの木沢の150キロを強振。この日初めて初球に手を出した。怖い物知らずのルーキーが積極性を思い出し、放った一撃。「遅すぎるぐらいだと思います」と照れ笑いした。

5月末、相棒を変えた。ミズノ社の担当者に依頼し、バットの重さを約20グラム増やした。870グラム程度のものを使用していたが、900グラム弱に。「だいぶ違いますよ」。繊細な感覚に、シーズン中であろうが変化を加える決断をした。

「今までが軽すぎたので。打感がそんな良くなかったんです。それが今は、バットの重みで良くなっている。当たった時の打球の伸びとか感触とか、いいですね」。東海大相模(神奈川)で高校通算57発、中大で大学通算9発の男の長打力が、目覚めた。重みある一振りで試合を決めた。

この日は中大の先輩・牧も本塁打を放っており、岡田監督は「今日はもう中央デーかなと思って、残しといたんよ」。当初の前川のスタメン起用プランから変更して背番号1の出番がやってきた。指揮官は試合前「もっとタイミングを早く取らんと、さばけん」とアドバイス。体現してみせ、近本不在の「1番中堅」で暴れた。

お立ち台ではホームランボールを「重み…ありますね」と大切に握り「両親に初ヒットのボールと一緒に贈りたい」。歴史に残る1発で、森下がさらに加速する。【中野椋】

▼9日はともに中大出身の牧(DeNA)と森下(阪神)が1-0本塁打を放った。1日に1-0本塁打が2本は11年5月31日の内川(ソフトバンク)と松井稼(楽天)以来で、セ・リーグで2本は73年8月30日の江夏(阪神)とシピン(大洋)以来、50年ぶり。

○…2番手岩貞が1イニング無失点で森下の1号アーチを呼んだ。両軍無得点の8回に登板。浜田、並木、内山の右打者3人を片付け、援護を待った。直後の攻撃で森下が劇弾。「ナイスバッティングです」と先輩として喜び「森下のああいうバッティングを見たら、リリーフとしてはドキッとするので、気が引き締まりました」と刺激を受けた様子。チームが勝ち越したことで、入団から10年連続となる白星がついた。

【動画】阪神ドラ1森下翔太、両軍無得点の均衡破る値千金の1発! プロ初ホームラン