重い空気をルーキーが吹き飛ばした。阪神ドラフト1位森下翔太外野手(22)が猛虎の意地を体現した。小川の前に無得点が続いた0-5の7回。2死一、二塁の好機で、2点をかえすプロ初三塁打を放った。

「2打席打ち取られていて、なんとかチャンスだったんで、1本出そうという思いで打席に立ちました」

三ゴロ、見逃し三振で迎えた3打席目は、浮いた変化球をしっかりとらえた。打球は中堅フェンスを直撃し転々とする間に、一気に三塁を陥れた。昨年まで在籍した東都リーグの中大で暴れ回った神宮で、これがプロ初打点。静まりかえっていた東都の虎党をこの日初めて沸かせ、続く梅野の適時打も呼び込んだ。

今季は開幕右翼を勝ち取ったが2度の2軍落ちを経験。プロの壁をはね返すべく、6月23日に再昇格。その後近本が離脱すると、1番打者を担い穴を埋めた。この日から近本が復帰し、開幕と同じ「6番右翼」に戻った。「出るからには、チームの勝利に貢献したい。その中で自分のスタイルをしっかりやりながら」。後半開幕戦でしっかり岡田監督の期待に応えた。

18日のフレッシュ球宴(富山)では全セの4番を務め、決勝打を含む3安打3打点でMVPを獲得した。勢いそのまま好調をキープしている。「今日は負けちゃいましたけど、また明日しっかり勝って(甲子園に)戻りたい」。勢いに乗る背番号1が、後半戦はがっちりレギュラーをつかみ取る。【波部俊之介】