首位を走る阪神にまさかの緊急事態が発生した。

梅野隆太郎捕手(32)が死球で左尺骨を骨折。今季中の戦列復帰が極めて難しくなった。

苦痛に顔をゆがめた。5回1死。ヤクルト2番手今野の7球目、直球が左手首付近を直撃した。その場で倒れ込み、苦悶(くもん)の表情で左手をおさえた。球場全体がどよめき、虎党から「頑張れ」コールも湧き起こった。しばらくして起き上がると、駆け寄ったトレーナーに付き添われてベンチに下がった。だが、岡田監督は代走坂本を送らざるを得なかった。

梅野は試合中に大阪市内の病院で診察を受け、「左尺骨骨折」と診断された。岡田監督は試合後、「きついみたいやな。ベンチ下がったときに、こら骨折やなって」と明かした上で「今年は無理でしょう」と覚悟を決めた。残りのシーズン、正捕手抜きで戦わなければならない状況となった。

梅野が退き、捕手登録は坂本のみとなった。捕手経験者で昨季から内野手登録に変更した原口が控えているとはいえ、再び故障などのアクシデントがあれば捕手が不足する恐れもある。岡田監督は「そら、キャッチャー上げなしょうがない。(梅野の)代わりはおらんよ。補充はできるけど」と見通した。今季63試合でスタメンマスクをかぶった男の離脱に厳しい表情だ。

とはいえ、虎には頼れる捕手がまだ存在する。この日途中出場した坂本は1点リードの7回1死一、三塁、ヤクルト星から中前適時打を記録。2試合連続打点でリードを2点に広げた。

坂本は「梅野さんも悔しいと思う。いなくなって弱くなったりしたら梅野さんに歯がゆい思いをさせてしまう。早く戻ってきてもらって、それまで全員で粘って戦いたい」と言葉に力を込めた。先輩捕手の気持ちもおもんぱかりながら、1勝1勝を積み重ねる。【高垣誠】

◆尺骨 肘から手首まである2本の前腕骨のうち、小指側にある長い管状の骨。21年10月2日にオリックスの吉田正尚(現レッドソックス)が死球を受け骨折。全治2カ月の診断を受けたが、徹底した自己管理で11月10日からのCSファイナルステージに間に合わせた例がある。

【阪神】梅野隆太郎が今季絶望「今年は無理だと思いますよ」岡田監督 5回に死球受け左尺骨骨折