秋季リーグが開幕し、九産大が15-1の5回コールドで九工大を下し、2季連続優勝へ圧勝スタートを切った。今秋ドラフト候補の最速151キロ右腕、楠本宏武投手(4年=鎮西学院)は5回に登板して、1イニングを1安打無失点で締めた。夏場の右足首捻挫の影響が懸念されたが上々発進。プロ志望届を提出予定で、2季連続MVP級の活躍でアピールする。九共大、日経大も初戦を勝利で飾った。

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春季リーグMVPのエース楠本が、けがを乗り越え秋開幕に間に合わせた。

5回に今後を見据えた“慣らし運転”。「開幕戦で力が入った」と話し、球のバラツキはあったものの、威力抜群の直球を軸に1安打無失点に抑えた。

夏休み前、寮で右足首を捻挫した。その影響もあり、練習試合は8月下旬の西部ガス戦2イニングのみの登板で公式戦を迎えた。

だが、故障中にフォームや体の使い方を見直すなどして、体重も85キロに増加。功を奏して、西部ガス戦で最速を1キロ更新する151キロを計測した。さらには「高いレベルでやりたい。プロの世界は育成も支配下も関係ない。育成からもいい選手は出ている」というプロ球界への意識の高まりも糧にした。

春の時点では社会人入りも視野にあったというが、「監督と話して断って下さいと言いました」。進路を一本に絞った。「連絡があって、進路の話をしたら、頑張れと言われました」と同大学OBである楽天渡辺翔太投手の存在も刺激となり、並々ならぬ背水の覚悟で、最後のリーグ戦に挑んでいる。

武器とするスプリットやチェンジアップなど縦の変化球もより向上させ、プロ1本の夢を追う。【菊川光一】

◆楠本宏武(くすもと・ひろむ)2001年(平13)7月28日、長崎県生まれ。千綿小1年から千綿小ソフトボールクラブに在籍。千綿中では長崎中央リトルシニアでプレー。鎮西学院3年夏にエースで長崎大会準V。九産大では2年春から登板し通算10勝4敗。変化球はカーブ、カットボール、スライダー、スプリット、チェンジアップ。177センチ、85キロ。右投げ右打ち。

 

○…九共大の3番根路銘(ねろめ)太希内野手(4年=興南)が大学初の満塁本塁打で勝利に貢献した。

2回1死満塁。「真っすぐ狙い。甘いところだったら、強く振り抜こうと思った」といい、内角直球を強振。公式戦4本目が右越えの満塁弾となった。卒業後は日本新薬入りの予定。オリックス宮城大弥投手とは甲子園で一緒に活躍した仲で「負けていられないです」。出世頭に刺激を受けて、V奪還と首位打者を目指す。