日本ハム伊藤大海投手(26)が、世界一に輝いたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)から始まった今季を総括した。一問一答は以下の通り。
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-開幕前にはWBCに参加。振り返って
伊藤 自分の中では、もう何年か前ぐらいの気持ちでいますけど。今思うと、そこから始まったシーズンだったので、すごく長くは感じた。
-大きな経験の中で得たものは
伊藤 あれだけの選手の中に混ざって、世界一を取りに行く。いろんな選手の考えだったり意見を聞きながら、すごく自分自身が高まる空気感でもありましたし、今年1年戦う上で重要な時間だったと思う。あの時の気持ちというのを、これからの野球人生に生かしていきたい。
-WBCがある年のシーズンの難しさ
伊藤 1度、気持ちもコンディション的にも上げ切って、やり切った後にリスタートする難しさはもちろんありましたし、リリーフからの先発だったので、体のうまくいかない部分もありました。でも、あれだけの経験をさせていただいて、あれだけの景色を見させてもらって、それを言い訳にはしたくなかったので頑張ってましたけど、ちょっとしんどかったかなってのは正直あります(笑い)
-WBCの経験が引き出しとして生きたこと
伊藤 WBCというよりは、1月のダルビッシュさん(パドレス)との自主トレで、本当にたくさんのことを学びました。それがずっと頭の中にあったので、なんとか体現したい、表現したい気持ちはずっと持っていた。かみ合った時に、そういうパフォーマンスはできていたので、いいパフォーマンスの再現性、確率をもっともっと来シーズン上げていきたい。
-今季は序盤で初勝利まで苦しんだ
伊藤 何をやってもうまくいかないというか。すごく苦しい時期ではありました。そこをなんとか乗り越えて、1年間投げられたところは良かったのかなと思います。
-8月に西武戦で完封した時は好調そうだった
伊藤 今年に関しては良い時の感覚が2試合、3試合と続いて。またちょっと分からなくなってしまって、っていうのがすごく続いた。自分自身、何かをつかむきっかけを見いだしながらも、それをしっかりつかみきれないというか。頭で分かっていても、なかなか体が付いて来ない。悔しい気持ちと、情けないという思いはありました。
-9月のオリックス山本との投げ合いはファンを感動させた
伊藤 いつローテーションから外されてもおかしくない状況の中で、マウンドに上げ続けてもらっていた。本当に1戦1戦、命懸けでマウンドに上がっていました。自分の思うようなプレーができなくても、それでも信じてマウンドに上げてくださった監督、コーチ陣含め、感謝の気持ちを持ってマウンドに上がっていた。
-シーズンの中でできたことや課題は
伊藤 今年1年間、高みを目指すことももちろんそうですし、自分自身がレベルアップを図るのもそうなんですけど、体と会話をしながらやっていかないと、なかなか自分の体の状態が戻って来ないだとか、歯車が狂い始めるというのはすごく身に染みて感じたシーズンだった。休むべきところはしっかり休んで、メリハリをもっと大事にしていかなきゃと感じました。
-オフの入り方は変わりそう
伊藤 1年目、2年目と気持ち的にも疲れて、最初ガッチリ休んでという形だったけど、今年はある程度計画を練って、来シーズン違った姿でマウンドに上がれるような準備をしていきたい。
-雲隠れ計画は
伊藤 そうですね、今年も隠れてやります。
-挑戦したいこと
伊藤 あまり変わったことをやるつもりはないですけど、今年完投した時の先発ピッチャーとしてのやり切った感はすごく感じたので、長いイニングを投げられる力と、完投は120球ぐらいが目安だと思うので、120球中、何球思ったところに投げられるかとか、そういう作業をしていきたい。
-オフに一番力を入れたいこと
伊藤 トータルでゲームに入った時に制球力は課題だと思う。そのためには、ボールをただ投げるより体のバランス、使い方を見直して。100~120球、全て同じ形で投げられるような取り組みをしていきたい。
-今オフもダルビッシュとやる予定は
伊藤 本当にいろんなことを短い期間で教えていただいたので、また自分でしっかり考えて、自分の時間として、選手は僕1人で取り組もうかなと思います。
-去年より直球が速くなった。手応えは
伊藤 去年は平均球速が1年目に比べて落ちてしまったので、そこをまず課題として置いた。真っすぐの出力自体は今年すごく良かったので、そこは継続してパワーアップしていきたい。前半戦で建山コーチに「ずっと上体投げに見えるよ、力んで見えるよ」と言われてたので、そうではなく、しなやかさだったり、自分が投げやすい投げ方じゃなくて、バッターが打ちづらい打ち方を探っていけたら。
-フォームを変える
伊藤 微調整ぐらいだと思います。これだけやってると自分のクセもあると思うので、改善できるところを改善してムダを省いていく作業になると思います。
-新庄監督が「将来エースになってもらわなきゃいけない」と。エースとは
伊藤 エースという定義は別にないですけど、イニング数しかり、防御率しかり、周りからの期待感、信頼感。「今日大海がマウンドに上がるなら大丈夫だな」と思ってもらえるシーズンに、来年は絶対したい。今までと違ったオフを過ごしたいなと思います。