タイトルも猛虎祭り! 阪神大山悠輔内野手(28)が最高出塁率(4割3厘)で自身初タイトルを獲得した。シーズン最終戦も初回に先制の19号2ランを放つなど2安打2打点と活躍。球団では史上5人目、生え抜きでは85年掛布雅之以来の「全試合4番スタメン」も達成した。この日、セ・リーグ全日程が終了し、タイトルも確定。阪神の獲得者5人は14年以来、球団タイ記録となった。

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大山は逆転サヨナラ負けの直後、神宮の三塁側フェンス沿いを小走りした。レギュラーシーズン最終戦。最高勝率が懸かっていた左腕大竹に白星をつけて終われず、浮かない表情から無念さが伝わってきた。

とはいえ、懸命に走り抜いた過程が色あせることはない。四球出塁を重んじる23年岡田阪神の申し子としてリーグ最多の99四球を選んだ。最後は最高出塁率で自身初タイトルも獲得した。「良かったです」。短くまとめた本人の言葉を補足するように、岡田監督は4番の初勲章を「そら価値あるよ」と表現した。

出塁率は試合前時点で2位DeNA宮崎と6厘差だった。予断を許さない状況で1打席目から結果を出した。1回表2死一塁、フルカウント。ヤクルト左腕高橋の甘く入ったチェンジアップを強振した。「追い込まれた後でも自分のスイングでとらえることができた」。雨音を超える衝突音が「カンッ」と神宮球場に響き渡る。先制の19号2ラン。ライナー性の大飛球で左翼席を楽々越した。

同点の6回1死二塁でも中前打を放ち、5番佐藤輝の犠飛をお膳立て。1本塁打を含む2安打2打点で出塁率4割3厘をキープし、虎の右打者では初の同タイトルを手にした。8犠飛もリーグ最多。18年ぶりのリーグ優勝を上々の形で締めくくった。

「2年前は4番から6番に落ちて悔しい思いもしたので…。4番で出続けられたことは自信になるかなと思います」

前日3日、言葉に力を込めた。21年は不振続きで6月末に4番を外れ、6番どころか7番も4試合経験した。もう同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかない。4番フル稼働を最重要課題とした1年。球団では09年金本知憲以来14年ぶり5人目、生え抜きプレーヤーに限れば85年掛布雅之以来38年ぶりの「全試合4番スタメン」には胸を張れる。

チーム全体で見れば、最多安打の中野、最多盗塁の近本、最優秀防御率の村上、最多セーブの岩崎もタイトルを手にした。タイトル獲得者5人は球団最多タイ記録の快挙だ。「とりあえず1年、無事に終われたのは良かった」と一区切りをつけた4番。神宮のグラウンドを後にする頃には早速、次なる戦いに視線を移していた。【佐井陽介】

▼阪神は大竹が勝率1位のタイトルを逃したが、村上が防御率、岩崎がセーブ、中野が安打、大山が出塁率、近本が盗塁と5人が5部門でタイトルホルダーになった。タイトル獲得者5人は球団では05、14年と並び球団最多タイ記録。プロ野球最多は12年巨人と17年ソフトバンクの6人。

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