<巨人1-0DeNA>◇4日◇東京ドーム

巨人原辰徳監督(65)がDeNAとの今季最終戦勝利後のセレモニーでのあいさつで、今季限りでの辞任と、阿部慎之助ヘッド兼バッテリーコーチ(44)に指揮官のバトンを託すことを表明した。監督通算17年目の今季は4位で、2年連続でCS進出を逃した。同一監督の2年連続Bクラスは球団史上初。3年契約の最終年となる来季を待たずに身を引くことになったが、巨人のユニホームを身にまとい、さわやかに、熱く戦い抜いた。

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巨人原監督は高校、大学、プロ入り後もスター街道を歩んできた。監督としても栄光、栄誉、残した功績は計り知れない。同時にユーモアあふれるトーク力も並ではない。野球部の監督を務めていた父貢さんとの親子鷹でも注目を集めた東海大時代の逸話には人間味が垣間見える。

大学4年の時だった。東海大グラウンドに東大を招き練習試合を行った。ダブルヘッダーの1試合目の1軍戦で大差で圧勝した。2試合目との間に構内の大広間で昼食をとる東大ナインにあいさつにいくと、参考書を手に昼食をとっていた。「こんな時まで勉強するのかと。すごいなと。同じ学生としてこの光景を見てこてんぱんにやられた気持ちだった。自分が恥ずかしくなった」。当初2軍選手が出場予定だった2試合目も、志願して出場した。

自らを律し、相手を敬い、常に上を目指した。その姿勢は還暦を過ぎ65歳になった今でも何ひとつ変わらない。若手の積極起用、ベテラン選手への叱咤(しった)、硬軟、強弱を巧みに使い分けた。昨季のBクラスを大惨敗と受け止め、奪回を掲げた今季だったが、2年連続で4位Bクラスにとどまった。契約を1年残すも「自分の中では監督というのは、どういう役割でやっているのかというのは、分かっているつもりです」とプロの厳しさを貫いた。【巨人キャップ 為田聡史】