<プロ野球ドラフト会議>◇26日

阪神は1位で青学大・下村海翔(かいと)投手(4年=九州国際大付)の指名権を獲得した。身長174センチと小柄ながら最速155キロの直球やカットボールが武器で、目標に今季大ブレークした村上頌樹投手(25)を掲げる。

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願いは通じた。甲子園がある西宮市出身の下村は生粋の阪神ファン。ドラフト前夜、「俺、阪神1位ないかな」と祈っていたという。

九州国際大付時代、力強いフォームから繰り出す直球とスライダーを軸に、ばったばったと三振を奪った。3年夏は福岡大会準決勝で、今回ヤクルトに1位指名された専大・西舘昂汰の筑陽学園に敗れた。それでも実家から近い甲子園に出向き、ライバルに友情応援を行った。心優しく、仲間思いな21歳だ。

西宮に帰省する際には必ず、関東土産を購入。事前に相手の好きなものを聞き出し、おしゃれなスイーツをチョイスする。「準備はしていない」と言いつつ、野球でのプレー同様、しっかり周りを見ている。最高のパフォーマンスを出すために何が必要かを常に考えるクレバーさも武器だ。

大学3年になると同級生は就職活動まっただ中。スーツ姿の友人たちを横目に「すべてプロになるためにやってきた。就活はしない」とプロ1本に腹を決め、鍛錬を続けてきた。少し人見知りだが、人との縁を大事にし、感謝も忘れない。そんな人柄はプロでもきっと変わらないだろう。【村松万里子】