オリックスのエースが、まさかの乱調だ。山本由伸投手(25)が5回に阪神渡辺諒に先制タイムリーを浴びるなど、自己ワーストタイ7失点で6回途中で降板。過去2年の日本シリーズも3戦に登板し、白星なし。3年連続の4冠を達成した球界を代表する右腕がまたもシリーズ初勝利を逃した。

「関西シリーズ」の初戦を落としたが、日本一に輝いた昨年も黒星スタート。粘りのチームが逆襲する。

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黄色に染まったレフトスタンドの大歓声が起こる中、山本は打球を見送るしかなかった。「大事な初戦のマウンドを任せていただいた中で、役割を果たせなかったことが悔しいです」。日本シリーズのマウンドは、今年もエースへ試練を与えた。

0-0で迎えた5回。先頭佐藤輝の中前打から猛攻を受けた。1死三塁で渡辺諒に先制適時打を浴びると、木浪に連打を許し平井投手コーチがマウンドへ。迎えた坂本の送りバントを阻止し、流れを止めたかに見えたが、続く近本、中野に連続適時打を浴び一挙4失点。6回も勢いは止められず、坂本に6点目の適時打を浴びたところで、中嶋監督が自ら山本のもとへ。無念の降板となった。

前回登板の18日のロッテとのCSファイナルステージ第1戦では、7回10安打5失点と苦戦。打線の援護に助けられ「感謝しています」と味方への思いを何度も口にした。開幕前には敵将の岡田監督から「そんなええと思てない」と“口撃”を受けた。なんとしても勝ちたかった開幕戦。2回2死で迎えたノイジーの5球目に、自身最速タイ159キロを計測するなど、気合は数字にも表れたが、白星だけが遠かった。

レギュラーシーズンでは3年連続の4冠達成と今年もライバルを圧倒。しかし、日本シリーズではなぜか勝ち運に恵まれない。21年は第1戦、第6戦を任されるも勝敗つかず。昨年は第1戦の5回途中で左脇腹を痛めて降板。「こういう大事な試合なんで、この負けはすごく大きいなと感じています」。責任を一身に背負った。

今季終了後にポスティングシステムでのメジャー移籍が有力視される。第6戦までもつれなかった場合、これがラストマウンドとなる可能性もあるが、目標を信じるだけだ。「日本一になるのがチームの目標なので。もう1試合あるかもしれないですし、ないかもしれないですけど、しっかり準備しておきたい」。思いはぶれない。【磯綾乃】

▼3年連続シリーズ<1>戦に先発の山本が7失点で敗戦投手。公式戦を含め7失点は22年5月3日ソフトバンク戦に並ぶ自身ワーストで、7自責点は初。シリーズ開幕投手の7失点は17年井納(DeNA)に並ぶワースト記録だ。シリーズで開幕投手を3度以上は10人目で、3年以上連続は69~72年堀内(巨人)76~78年山田(阪急)17~20年千賀(ソフトバンク)に次いで4人目。結果は21年勝敗なし、22年●、23年●で、2年続けて<1>戦黒星は97、98年西口(西武)以来となり、開幕投手3度以上で白星なしは山本だけだ。

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