両翼争い殴り込み! 阪神は14日、育成選手の野口恭佑外野手(23)と支配下選手契約を締結したことを発表した。支配下の契約金は1000万円、年俸は120万円アップの420万円で背番号は未定(金額は推定)。「緊張しすぎて、あんまり…(覚えてない)。何も知らされてなくて、びっくりした」。高知県内のチーム宿舎で行われた契約交渉の場で嶌村球団本部長から伝えられ、驚きを隠せなかった。

岡田監督は高知・安芸市の秋季キャンプに合流した11日、フリー打撃で柵越えを連発した若武者を見て「1人おったなあ。野口やなあ」とリストワークの強さを高く評価していた。今季2軍で打率3割3厘、6本塁打の打棒を初の直接チェックで絶賛。「もう初日に(支配下を)決めた。今日(14日)契約更改やいうから、その時にやったらええやんと言うたんや」と即決だった舞台裏を明かした。

嶌村本部長は「当然、支配下になったというのはそういうこと」と来季1軍戦力として躍動することを期待する。岡田監督は来季、球団史上初となる2年連続日本一へ「新しい力が必要よ」と新戦力の台頭を求めていた。野口も鍵を握るブレーク候補の1人だ。

現状、今季主に左翼を守ったノイジーの去就は流動的。右翼を担った森下は参戦中の侍ジャパンで左翼にチャレンジして幅を広げている。同期入団で同じ右打ちの野口が来春キャンプ、オープン戦でアピールすれば、森下らとガチンコ両翼争いが勃発する未来が見える。指揮官は「明日から個別ではゴロ捕らせなあかんわ」と守備強化も命じた。

15日から秋季キャンプ最終クールに臨み、11月末から台湾で行われるアジアウインターリーグに参加予定。「バッティングでアピールして、残りのクール頑張って、台湾も頑張って、自主トレもしっかりやって、キャンプに向けてやりたい」。冬の期間も汗を流し続け、連覇へのピースになってみせる。【中野椋】

 

◆野口恭佑(のぐち・きょうすけ)2000年(平12)7月17日生まれ、長崎県出身。創成館では3年春夏と甲子園に出場。九産大を経て、22年育成ドラフト1位で阪神入り。入団前の体力測定で垂直跳び、立ち幅跳びトップの数字を記録。今季はウエスタン・リーグ67試合出場で60安打、6本塁打、18打点、打率3割3厘。180センチ、88キロ。右投げ右打ち。