オリックスのドラフト3位、享栄・東松快征投手(18)が、福良GMを仰天させた。17日に名古屋市内で入団交渉し、契約金5000万円、年俸600万円で仮契約。晴れてオリックスの一員となった会見で「長くプレーしていずれはメジャーに行くような選手になりたいと思っている」と大きな目標を掲げた。「球団の方々が自分のコンディションを考えてくださって、プランを考えてくれていると思うので、それにしっかり乗って自分のパフォーマンスができれば」と早くも入団後をイメージした。

単なるメジャー希望だけではない。東松の夢は、より大きい。「もしかしたら山本由伸投手がサイ・ヤング賞を取ってしまうかもしれないですけど、可能であれば自分が一番最初に取ってやるぞと」と日本人初の快挙を視野に入れた。ダルビッシュが12年9位、13年2位、20年2位で受賞を逃している。その軌跡を知った上での18歳の意気込みに驚いたのは福良GMだ。

「初めて聞いたんですけど、さっき。まあ、それぐらいの方が楽しみではありますけどね」と笑ってみせた一方、「何年も貢献してくれたらいいですね」と本音も。昨オフ、主砲の吉田正をレッドソックスに送り出し、今オフは山本のメジャー移籍を容認。大エースを25歳で手放すことになったが、まさか仮契約を結んだばかりの新人まで…。人材の宝庫ならではの球団の度量が試される? 【堀まどか】(金額は推定)

◆東松快征(とうまつ・かいせい)2005年(平17)4月29日、愛知県生まれ。加木屋小1年から「加木屋クラブ」で野球を始め、加木屋中では「東海中央ボーイズ」に所属。享栄では1年秋からベンチ入りし、2年夏から背番号1。最速152キロ。50メートル走6秒3。遠投120メートル。パワーリフティングの下部組織の大会で王者になった経験を持つ父宏典さん(46)の指導の下、自宅トレーニングで体をつくった。179センチ、89キロ。左投げ左打ち。