井端ジャパンがタイブレークの末、宿命のライバルをサヨナラで破り、初タイトルを獲得した。

「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」決勝戦、韓国との再戦を延長10回4-3で制し、2連覇を果たした。井端弘和監督(48)が24歳以下または入団3年目以内の若侍のポテンシャルを存分に引き出した。観衆4万1883人は、3月のWBCを超える東京ドームの今季最多。次なるターゲットは24年11月に行われる「プレミア12」を見据え、再び世界の頂点へと歩み始める。

  ◇  ◇  ◇

井端監督が歓喜の輪に飛び込んだ。手に汗握るタイブレーク。1点奪われた延長10回無死一、二塁で代打バントを古賀に託した。「頼む」とひと言。五輪予選で自身も経験したから分かる。「リラックスしろといわれてもできない。自分は『頼む』の方が楽だったし。ひと言で済ませた」。門脇には「いつも通り入れ」と力みを取り除きサヨナラ打をもたらした。ここ一番で力を引き出した若侍の手で、6度宙を舞った。

初めての国際大会の重みを身をもって知るからこそ、若侍に今大会を経験して欲しかった。01年W杯(台湾)にプロアマ混成チームで出場。中日でプロ4年目を終えた11月だった。巨人高橋由伸、阿部慎之助、ダイエー井口資仁らとともに選出。初見の投手相手に苦戦しながら、遊撃で大会ベストナインに選ばれた。「知らない投手から打てたことはすごく自信になる。知らないピッチャー打てるんだから、知っているピッチャーは打てるだろうって。その感覚は今でも覚えてる」。翌年セ・リーグのベストナインを獲得したのも偶然ではない。今大会通算40安打すべてに意味がある。

来年11月「プレミア12」では年齢制限なき戦いが待っている。「今回から欲を言えば半分以上が入ってきてほしい。国際試合っていうのは最低でも2回経験しないと。次のプレミア12に呼んで、さらに次の26年WBCにいくとさらに良くなる」。国際大会自体が通常化した今、そこを通じて成長していく“メソッド”を思い描く。自身の経験をもとに、10年先まで見据え日本を強くする道筋が、クッキリと見えている。

大会前、候補選手を100人規模でリストアップ。コンディションなどを考慮されゴーサインが出た選手で構成されたが、関係者によるとギリギリの中でのやりくりだったという。「成功した人も失敗した人もシーズンに生かしてもらい、また日の丸を背負って立つことを心に思ってくれればもっと日本は強くなる。未来のプロ野球は明るい」。侍で始まり、侍で締めくくった23年、新たな幕開けとなった。【栗田成芳】

【アジアCS】井端ジャパンがサヨナラ連覇!白熱の日韓戦、タイブレークで門脇が決めた/詳細