【ホノルル(米ハワイ州)16日(日本時間17日)=古財稜明】チカナカで目指すは「ダブル30」だ! 阪神中野拓夢内野手(27)が、近本光司外野手(29)と来季2人そろって「30盗塁」を達成することを誓った。2人以上の30盗塁は、球団では歴代最多205盗塁を記録した54年の吉田義男(日刊スポーツ客員評論家)、渡辺博之、田宮謙次郎宮以来70年ぶりの快挙となる。虎が誇るスピードスター2人が球団初のセ・リーグ連覇へ、24年も走りまくる。

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ゴーグルを頭に、ピンクの浮輪を肩にかけバカンスモードの中野の心は、来季の偉業達成へ燃えていた。優勝旅行の地ハワイで、24年シーズンに先輩近本とのダブルで30盗塁達成を目標の1つに定めた。

「それが一番ベスト。他にやるべきことはたくさんありますけど、近本さんと2人で相乗効果で数を増やせていけたらいいなと思っています」

2人以上での「30盗塁」を成し遂げれば、球団では歴代最多205盗塁をマークした54年以来。51盗塁で盗塁王に輝いた吉田、ともに30盗塁の渡辺、田宮以来70年ぶりの快挙となる。近本は今季28盗塁で2年連続4度目のタイトルを獲得。中野はリーグ2位の20盗塁にとどまったが、ルーキーイヤーの21年には30盗塁で盗塁王に輝いただけに、十分に狙える数字だ。

ともに「30盗塁」が節目の数字と位置づけている。中野が21年のタイトル獲得時に当時の近本から「30個いけないと盗塁王じゃない」と言われたことがあるといい、「自分も『30』という数字に関しては意識していました」。今季は近本が30盗塁未到達でのタイトルで「30個いかないと盗塁王じゃないので」と冗談交じりに言い返したという。取材の現場近くにいた近本は「やっぱり30盗塁いきたかったわー」と悔しい表情を浮かべた。

岡田監督の方針で基本的に選手に盗塁の判断を任せるグリーンライトは与えず、ディスボール(次の投球で走れというサイン)が中心だった。「サインが出て走るという難しさを感じた」という中野は「ディスボールが出たときにどう走るかが来年の課題。(2月沖縄キャンプで臨時コーチを務める)赤星さんに相談していきながら、そこで自分の最高のスタートが切れるようにやっていきたい」。

盗塁の魅力について「苦しい場面で雰囲気を変えられるところ」と話す背番号51。スピードスターの「チカナカ」コンビで来季もセ界をかき回すと同時に、70年ぶりの快挙達成に挑戦する。

▼今季30盗塁以上はソフトバンク周東と楽天小深田の2人(36盗塁)。同一チームで30盗塁以上が複数は55年南海(現ソフトバンク)などの4人が最多で、19年西武の2人(金子41、源田30)以降出ていない。阪神では54年に吉田51、渡辺、田宮30の3人が最多で、この年以外、同一年に複数選手が30盗塁以上を記録したことはない。来季、近本と中野がともに30盗塁を達成すれば、70年ぶりの快挙となる。ちなみに54年の阪神は、チーム全体でも205盗塁。これは現在でも球団最多記録だ。