レッドスターの教えで走塁革命だ! 阪神OBの赤星憲広氏(47)が3日、沖縄・宜野座の1軍キャンプで2年連続の臨時コーチを務めた。昨季1盗塁に終わった森下翔太外野手(23)に、球団最多の通算381盗塁を誇る走りの極意を注入。岡田彰布監督(66)から受けた「森下強化指令」を実行し、盗塁のスタート時の悪癖修正に乗り出すなど、スペシャリストがノウハウをたたき込んだ。

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雨が強くなっても「赤星塾」はストップしなかった。午後の個別練習で森下、熊谷、小幡、植田、野口が一塁ベース付近に集結。岡田監督も見守る中、二盗のスタート練習を繰り返した。練習前のあいさつで「森下くん、特によろしくお願いします!」と指名していた赤星氏は、その悪癖を見逃さなかった。

「森下くんは守備の時からそうなんですけど、上体がすぐ上がる。せっかくスピードがあるにもかかわらず、体が起きることによってロスをしてしまっている」

事前に森下の盗塁シーンの映像をチェックしていたという。球団最多、通算381盗塁を誇るスピードスターは「3歩目までが勝負」が持論。森下は、その3歩目までにスピードに乗り切れていなかった。本人も「そういうところが出ているのは分かっていた」と自覚していた。この日は「3歩目」が届く付近にラインを引くことで課題を強く意識。「無意識にできるまで練習するしかない」と上体がすぐに起き上がる癖の改善に努めた。

昨季は1盗塁に終わったが、今季は「2桁」が目標だ。「打つだけじゃなく、走れる選手を目指したい」と常々話す。赤星氏も「森下くんが3番に入った時に1、2、3番が走れるよ、ってなったら、相手からするとより脅威になる」と相乗効果に言及。課題を克服すれば、1番近本、2番中野と“虎のスーパーカートリオ”誕生も見えてくる。

岡田監督は「会うた時に言うといたけどな」と、事前に森下の走塁強化を赤星氏に託していた。「1死一塁で(カウント)3-2になったら、当然ランエンドヒットでな。バッターがもし三振したら、それ(盗塁)をアウトになるかセーフになるかは、全然違うからな。そういうことやろな」とイメージ。走れる3番打者が誕生すれば、もちろん得点力はアップする。

赤星氏は1日をたっぷり使ってみっちり指導した。一塁からスタートをスムーズに切るために、右足のつま先を二塁方向に向けるアドバイスや、二塁走者が本塁に一気に生還するための心構えなど、テーマは多岐に及んだ。「日本一のチームだなと感じます。だから正直、あんまり教えることないんですよね」とのみ込みの早さも感じ取った様子。リーグ連覇へ虎が足にも磨きをかける。【中野椋】

◆現役時代の赤星氏 当時の野村克也監督の希望で、00年ドラフト4位で入団。いきなり39盗塁でセ・リーグ盗塁王に輝き、新人王も受賞した。以後05年まで、セ・リーグ初の5年連続盗塁王を獲得。03年には主に2番に入り、3番金本のアシストのもと61盗塁を決めた。9月15日広島戦ではサヨナラ安打を放ち、同日の優勝を導いた。04年64盗塁は球団シーズン最多記録。05年には1番に定着し、60盗塁。3番シーツ、4番金本、5番今岡という重量打線のもと、自身最多の119得点を挙げ自身2度目のVを味わった。09年9月12日横浜(現DeNA)戦で負傷した「中心性脊髄損傷」のため、同年限りで現役を引退。通算381盗塁は球団最多で、プロ野球9位タイ。

▽阪神熊谷 (走者)セカンドでの打球判断とかですね。判断をゆっくりというところは実になる。赤星さんに言ってもらって、気付くこともありました。

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