日刊スポーツ阪神担当は今回の春季キャンプで「密着」と題し、ナインらの取り組みを随時取り上げる。第2回は中野椋記者が、中野拓夢内野手(27)の「朝」に迫った。

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「おはようございます!」。報道陣へそう声をかけると、中野はゆっくりと沖縄・宜野座のキャンプ地のサブグラウンドへ向かった。まだ全体練習が始まる1時間以上前の午前8時41分。その後を追うと、すでにパーカのフードを脱いでいた。ゆっくりと走り始める。気温はまだ20度を下回り、風が吹くと涼しい。それでも約10分間のランニングを終えると、少し汗ばんでいた。

プロ4年目の今年から取り入れたルーティンだという。頻度は2日に1回。「ちょっと体が張ってきた時に急に動いたりしたら、嫌な感じがあるので」。連日の猛特訓だ。疲労がたまれば、筋肉は硬くなりやすい。目標とする2年連続の全試合フルイニング出場へ。昨年は夏場に体力が落ちたことも自覚している。鉄人ボディーをつくるため、その土台が、この朝にある。

誰に言われるでもなく、1人で始めた。「いろいろ考えられるじゃないですか。上がりたい時に上がれて、自分のペースでできますし」。イヤホンもしない。「声をかけられたりしたら、イヤホンをしていたら無視するような形になってしまうので」と細部への心配りも行き届いている。

同8時54分に走り終えると、ファンのもとへ。50人以上の虎党へサインに応じ、エネルギーももらった。「練習中には基本は書けない。せっかく沖縄まで来てくれたんですから、書ける時に書かないと」。同9時16分、雑念に支配されない“朝活”から、中野の1日が始まった。【中野椋】

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