北摂、東北楽天、中本牧、大阪福島が準決勝に進出した。
昨年夏の日本選手権決勝と同じカードとなった世田谷西-中本牧は、中本牧が5-2でリベンジした。先発左腕の鈴木陽仁が5回3分の2を2失点に抑えた。スピンの効いた直球と変化球がコーナーに決まり、強力打線から7三振を奪った。「昨日の夜から思い出していました」というマウンドがあった。昨年夏、神宮球場での日本選手権決勝だ。5回1死二塁から登板すると、同点タイムリーを浴び、6回は走者を許して降板した。「僕が投げて負けたようなものですから」という悔しさを胸に秘め、「セタニシ」のグレーのユニホームに立ち向かった。「甘く行ったらやられる」と言い聞かせ、冷静にボールを操った。
球数制限を迎え、6回2死から今大会初登板した2年生右腕・立花虎之介は一転してにぎやかなマウンドだった。1球ごとに虎のごとくほえた。力がみなぎる投球だが、随所に緩急をつけて幻惑した。「声を出す方がボールに力が伝わるんです」とほえまくり、最後は2者連続三振で3点差を守り切った。
世田谷西の先発は181センチの背番号1、中村勇斗が先発マウンドに上がった。父は西武中村剛也。巨漢から繰り出す直球とスライダーで2回まで3者凡退に仕留めたが、腰を引かず、踏み込んでくる中本牧打線に粘り強く合わされるようになり、3回に4点、4回に1点を失い降板した。4番を任された打席では2回の第1打席に右前打を放ち、先制のホームを踏んだが、2、3打席は高々と打ち上げた外野フライに終わった。試合後は涙をぬぐい取材に応じると「先頭打者への四球とか反省点がありました。全国の舞台で、強いチームと対戦して、技術や体力ともまだ足りないことがわかりました」などと話した。巨漢の「投手で4番」は秘めたパワーも楽しみだが、攻守交代の全力疾走や周囲への声かけなど、ひたむきなプレーぶりが印象的だった。
準決勝は31日午前9時から大阪シティ信用金庫スタジアムで行われる。【特別編集委員・久我悟】
◆準々決勝
北摂 2ー1 豊田
東北楽天 4ー1 千葉市
中本牧 5-2 世田谷西
大阪福嶋 10-3 武蔵府中
◆31日の準決勝の組み合わせ
中本牧-北摂
東北楽天-大阪福島