育成出身の雑草左腕が、大型連敗脱出に導いた。西武の高卒3年目左腕の菅井信也投手(21)が、7回91球を投げ、3安打無失点でプロ初勝利を挙げた。お立ち台では「自分のペースで投げられたので、今日はそこが一番よかった」と喜びをかみしめた。記念ボールを受け取ると「一番はお母さんに報告したいです。実家に送ろうと思います」と孝行息子ぶりを見せた。

バッテリーを組んだ36歳ベテラン炭谷の好リードを受け、オリックス打線を手玉に取った。4回までパーフェクト投球。最大のピンチは1点リードの7回。連打から2死二、三塁を招いたが、炭谷から「一塁が空いているから、ぶつけてもいいぐらいの気持ちで投げてこい」と言われ、強気に攻めた。代打杉本を内角高めの直球で空振り三振に仕留め、グラブをたたいて雄たけびを上げた。

雪国の山形・南陽市から、プロの世界へやって来た。もともと育成指名ではプロに行かないと決めていたが、男を上げたい、名を上げたい、何よりも「勝つ投手」になりたい気持ちが勝った。弱肉強食の世界で愚直な努力を怠らず、西武時代の内海投手コーチ(現巨人コーチ)に教えを受けフォームを作り上げ、今年6月に支配下登録をつかんだ。8連敗中のチームを救う連敗ストップに貢献したが、見据えるのはまだまだ先。21歳の救世主は「次の登板も、その次の登板もずっと勝ち続けられるようなピッチャーになる」と、貪欲だ。【平山連】

▼菅井がプロ初勝利を挙げ、西武の連敗は8でストップ。プロ初勝利(外国人投手を除く)でチームの8連敗以上を止めたのは17年5月28日山岡(オリックス=9連敗)以来で、育成出身では初めて。西武では69年5月15日後藤(救援=9連敗)72年5月17日加藤初(先発=9連敗)79年4月24日松沼博(先発=12連敗)に次いで4人目。新人の松沼博は自身4試合目で初勝利を挙げ、チームの開幕からの連敗を12で止めている。先発で止めた加藤初は通算141勝、松沼博は通算112勝の投手に成長したが、菅井はどうか。

◆菅井信也(すがい・しんや)2003年(平15)6月28日、山形県生まれ。小学3年から野球を始め、中学時代は軟式野球部所属。山本学園では1年夏からベンチ入り。3年夏の県大会は3回戦敗退。21年育成ドラフト3位で西武入団。24年6月2日に支配下選手契約を結び、同6日ヤクルト戦でプロ初登板。183センチ、80キロ。左投げ左打ち。目標は現ブルージェイズの菊池雄星。

▽西武渡辺GM兼監督代行(菅井について)「プレッシャーかかる中で、本当に素晴らしいピッチングをしてくれた。(捕手の)銀仁朗が非常にうまくリードしてくれた」

▽西武野村大(6回に決勝の右犠飛)「菅井が頑張って投げていたので、何とか1点を取ろうという気持ちで思い切り振っていけた」

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