巨人のサードは熱い。「日本生命セ・パ交流戦」で、巨人坂本勇人内野手(36)が「7番三塁」でスタメン出場した。2軍再調整から約1カ月ぶりに1軍に復帰。4回に一時同点の左越え適時二塁打を放つと、続く中山の中前打で二塁から激走し生還。守備では5回、三塁線の強烈なライナーに体を投げ出して好捕した。3日に89歳で亡くなった終身名誉監督の長嶋茂雄さんが長年守った伝統のホットコーナーで、ベテランが奮闘。試合は8回に勝ち越しを許し、連勝は2で止まった。

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この男はただものではない。1点を追う4回2死二塁、ソフトバンク有原の内角カットボールを振り抜いた。天性の内角打ちで左翼手の頭上を破った。試合を振り出しに戻す同点適時打。二塁ベースに到達すると両手をたたき、右拳をにぎった。「次につなぐ気持ちで打席に立ちました。タイムリーになってよかったです」。背番号6、坂本勇人が帰ってきた。

代名詞の二塁打が再起への合図だった。現役最多のプロ通算462本目の二塁打で、歴代トップの立浪和義にあと25本と迫った。かつて「二塁打はシングルヒットを打って盗塁したのと同じこと。それくらい二塁打はすごく価値がある。打率、本塁打、打点というのはみんな見がちな部分だけど、安打でも二塁打とシングルヒットは全然違うと思っている」と“二塁打の流儀”を熱弁。この日は打点もついて価値は倍増した。

あのミスターが固めたホットコーナーで躍動した。2回に先発の井上が危険球で退場。1死満塁から急きょ登板した山田が今宮を三ゴロに打ち取ると、ワンバウンドの打球を小さくジャンプして捕球。素早く二塁に転送し、三-二-一の併殺を完成させた。5回には三塁線を襲ったライナー性の打球を横っ跳びで好捕。冷静な判断と軽快なグラブさばきを披露した。

今季は開幕から苦しんだ。打撃不振で4月15日に出場選手登録から抹消。岡本の離脱により5月7日に緊急昇格したが、同12日に再び2軍再調整。ファームでは打撃フォームを見つめなおして、試行錯誤を繰り返した。6日イースタン・リーグのオイシックス戦で待望の“1号”をマークし、1軍に合流した。

偉大な先人から受け継いできた重責を背負う。1軍復帰初戦のこの日は、2安打1打点で守備でも存在感を示した。「これを継続していくしかないと思う。感覚的にもちょっと(不振時とは)違う感覚も出てきている。もっともっと良くなるようにやっていけなければいけないと思う」と一定の手応えはつかんだ。最後は「明日は試合に勝てるように頑張ります」とひと言。背番号6が背負っているものはとてつもなく大きい。【為田聡史】

▼坂本が今季16試合目の出場で初の複数安打。これで坂本のマルチ安打の回数は通算668度目となり、歴代10位の立浪(中日)に並んだ。猛打賞では歴代3位の坂本が、マルチ安打でも10傑入りした。

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