「高校BIG3」最後のとりでは、まだまだ健在だ。ロッテ唐川侑己投手(36)が今季初先発し、7回3安打無失点と好投。24年9月10日オリックス戦以来、1年ぶりの白星を手にした。今季限りでの現役引退を表明した中日中田翔とヤクルト由規投手兼育成担当コーチとともに、甲子園で活躍して鳴り物入りでプロ入りした右腕。持ち味のテンポの良さとコントロールで、西武打線を封じ込めた。
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ベテラン右腕・唐川が、衰え知らずの存在感を示した。立ち上がりからテンポ良くストライクを重ね、西武打線を翻弄(ほんろう)。4回以降は1人の走者も許さず、完璧なマウンドさばきを披露した。「今日はできすぎでした」と控えめに振り返ったが、安定感が光っていた。
今季、中田翔が引退を発表。かつてヤクルトの由規と並び“高校BIG3”と呼ばれた同世代の仲間がまた一人ユニホームを脱ぎ、ついに唐川が最後の一人となった。仲間の決断に敬意を表すと「節目っていうのはあると思うんで、人に支えてもらっていい方向に」と語った。その言葉には、長く現役を続けてきた唐川ならではの重みがあった。
支えてもらった1人が、今季限りでの引退を発表した同僚の美馬だ。コロナ禍でチーム練習が制限されていた時期、2人は時間を分け合って汗を流した。「うまくいかない時って、つい後ろ向きなことを言っちゃう。でも美馬さんは『そういうこと言うもんじゃない。どうせ一生懸命やるなら、やったほうがいい』って言ってくれて。僕にもそうですし、若い選手にも分け隔てなく同じ言葉をかけるすてきな人です」。この日が1軍2試合目の登板で、今季は主に2軍で過ごした。それでも、下を向かずに練習に明け暮れた。技術だけでなく、心構えも先輩右腕から学んだ日々が、支えの1つになっている。
今度は唐川が、後輩を支える立場となった。この日の女房役は、2軍でもバッテリーを組んだ植田。2人で西武打線を80球で3安打に封じ、お立ち台で並んだ。初のお立ち台で感極まる姿に「なんとか植田に、いい景色を見せたかった。今日こうやって2人で勝てたのが最高にうれしい」と、日焼けが残る精悍(せいかん)な表情を崩した。
悔しさも苦しさも知るからこそ、勝利の喜びはひときわ大きい。「ヒーローインタビューの雰囲気って、なかなか味わえるものじゃない。でもこれがあるから『プロ野球選手を続けてよかった』って心から思える。報われたのかなって思うし、僕自身もうれしいです」。仲間の引退を見送り、後輩にバトンを渡しながらも、唐川はなおも進化を続けている。【星夏穂】
○…植田が初めてのお立ち台で涙を見せた。先発の唐川含む3投手を好リードし完封勝ちに貢献。「唐川さんとは2軍でずっと一緒に組ませていただいて、唐川さんのおかげで僕も成長できた。いいピッチングをしてもらえて最高の気分」と語った。「僕が野球をできているのは家族の支えあって。またこれから活躍できるように頑張りたい」と決意を込めた。
▽ロッテ吉井監督(唐川に)「配球の組み立ても前半真っすぐで押せるところまで押して、3まわり目からは変化球も入れてといういい攻めだった。去年に比べて今日の立ち上がりは4、5キロ速かったので、もっと良くなるかもしれない」



