もし負ければBクラス確定に-。それは西武の選手たちもファンたちも皆、分かっていた。
だからこそムードは今季最高レベルにもなる。4点を追う7回、2走者を置いての滝沢の適時打で本塁判定リクエストの末、2点が入った。
「セーフ」がコールされて2点目が確定した瞬間、左翼席で「チャンステーマ4」が一気に始まった。
うねる空気の中、さらに走者2人を置いて4番のタイラー・ネビン外野手(28)が打席に入った。
「マナヤ(西川)、ナツオ(滝沢)、セイヤ(渡部聖)が自分の役割を果たしてくれたので、自分の役割に集中して打つことができました」
上位打線の若手たちに負けじと。でも冷静に。「芯に当ててしっかり強い打球を打つことを意識して」。交代したばかりの日本ハム上原に2球で追い込まれながら、2球選ぶ。カウント2-2からの5球目、高めの152キロ。思いきり、強く。
センター方向への弾道に歓声が高まり、着弾直前にほんのわずか小さくなり、スタンドに着弾すると108・2デシベルがベルーナドームにはじけた。
獅子党、総立ち。ネビンも二塁を回りながら、いつものいかしたポーズ。逆転弾になった。
来日1年目。シーズン途中では異例の、2年先、27年シーズンまでの契約延長が決まった。
球界関係者によると、その実力とリーダーシップに、今季の早い段階でNPB複数球団が調査を始めていたとされる。
その中でネビンは「西武であと2年」を選んだ。いろいろな理由があるが、ファンの存在もその大きな1つだという。
「たくさん応援してくれるし、勝てば喜んでもらえる。契約終了までそういう感情を届け続けられる、ハッピーにし続けられるようにしたいです。もちろん皆さんの期待値が上がった分、自分の責任も増えてくると思うので」
秋を感じ始めても、ネビンはそんな思いで戦っている。【金子真仁】



