<阪神5-1西武>◇25日◇甲子園

 もう1点とって救援陣を楽にさせたい。新井、金本の思いは同じだった。2-1と逆転後の7回2死一、二塁。新井はまだ同点かのように集中していた。カウント2-2からの5球目。西武岡本真の外角低めのスライダーに泳ぎながら左手1本で三遊間を破った。

 新井

 何とか食らいついたって感じですね。何としても、もう1点とりたかったんでね。

 さらに一、三塁。金本は144キロストレートをたたき一、二塁間を真っ二つ。4点目が入った。だが、まだ三塁走者の新井は満足しない。5番桧山への初球だ。フォークがワンバウンドになり、西武捕手細川のミットから一塁線に転がると迷わず本塁突入。丸太のようにホームに転がり込み、5点目をもぎとった。

 新井

 セーフになってよかったです。好走塁も暴走も紙一重と言いますけど、紙一重のところでボクらは戦ってるんで。

 塁に出ると常に山脇、和田両ベースコーチから「ワンバウンドに集中!」の声が飛ぶ。「いつも言ってくれるんで、自分も意識付けができる。本当、そのお陰です」。交流戦4試合連続マルチ安打で打率は3割5分2厘まで上昇。ユニホームを泥だらけにした新井はこの楽勝ムードでも「紙一重のところ」とサラリと言った。

 金本

 状態が悪くないだけにもったいないよな。完ぺきにはもうちょいやな。

 初回の左中間への大飛球を含め、鋭い打球を連発した金本にも妥協の2文字はない。快勝の後も互いにベンチ裏のスイングルームにこもりフォームチェック。最後にロッカーへ引き揚げたのはこの2人だった。【片山善弘】