WBC日本代表候補で先発の柱の1人と期待される日本ハム・ダルビッシュ有投手(22)に、ブレークするための「微風」が吹いた。球数制限のルールが第1回大会よりも各ラウンドなどに応じて5球ずつ増え、力投型だけに有利といえる条件変更になった。本人は「ああ、そうなんですか。よく分からないんで」と無関心。わずか5球とはいえ、少なからず心強い材料になりそうだ。

 持ち味のタフネスさ、試合終盤の強さが、少しは生かされる。2年連続でシーズン2ケタ完投(07年12、08年10)をマーク。昨季の被打率は、序盤3回までが1割5分2厘、中盤の3イニングが2割1分7厘で、7回以降の終盤は2割2分と波の小ささがゲームメーク能力の高さを象徴する。短期決戦で要警戒の被本塁打は序盤6本、中盤5本に比べ、終盤はゼロと圧巻の内容だった。

 5球でも長くマウンドに立てれば「サムライジャパン」への貢献度はアップする。その準備も順風満帆だ。沖縄・名護での合同自主トレを打ち上げた30日はブルペン入りし85球の投げ込みを敢行した。カーブ、スライダーなど組み立ての軸になる球種を含め、決め球になる140キロ台前半の高速フォーク、ツーシームなども多投。直球は、捕手を務めた鶴岡の体感速度では「140キロ以上は確実に出ていた」と完ぺきな仕上がりだ。

 ダルビッシュも「ブルペンの内容も自主トレも良かったと思います」と手応え十分。球数と違い、底が見えない「無限」のポテンシャルを、勝負の時へ向けて高めている。【高山通史】

 [2009年1月31日11時0分

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