阪神真弓明信監督(55)がナインのやる気を受け止めた。キャンプイン前日の1月31日に恩納村内の宿舎ホテルで全体ミーティングを開いた阪神真弓監督は冒頭のあいさつで、昨季逆転で優勝を逃した雪辱をあえて封印。単調な練習を地道に積み重ねることを訴えた。ロング、ハードな練習で若手を鍛えた昨秋のキャンプとは一変。1日、選手のやる気を信頼し“大人のキャンプ”に突入する。

 オバマ米大統領ばりの熱弁は、振るわなかった。監督に就任して初の春季キャンプを控え、阪神真弓監督は興奮を静めるように淡々とナインに対した。キャンプイン前日の全体ミーティング。冒頭のあいさつから自然体の真弓流だった。

 真弓監督

 キャンプの前半は特に単純なメニューが多い。野球の動きからするとつまらない練習になるかもしれないが、それが一番大事なこと。この時期をうまく過ごせれば、いいシーズンにつながる。

 金本、下柳、矢野、桧山…全ナインを前にした“方針演説”は、昨オフの球団納会以来。「パーティーの席とは全然違う。さあやるぞという雰囲気を感じられた」と実質的にこれがナインに対する第一声だった。

 熱いセリフや胸を打つ言い回しはない。真弓監督はあえて、昨シーズンの屈辱に触れなかった。最大13ゲーム差をつけた巨人に逆転で優勝をさらわれた悪夢。ナインが感じている悔しさを、わざわざ蒸し返すことはしなかった。

 真弓監督

 選手にはなるべく昨年の優勝を逃したことは言わないでおこうと思っていた。誰もが悔しい思いをしていて、気合を入れすぎるのもどうかと。言わなくても、きょうは選手の目の色が違った。やる気は感じたから。

 V逸をNGワードにしたのは、選手を信頼している証拠だ。キャンプの練習メニューもごり押しする気はない。若手の底上げを図った昨秋の安芸キャンプはメンバーを27人と絞り込み、練習時間の長さと中身の濃さを打ち出した。いよいよ本番となる春のキャンプでは愛のムチを封印する。

 真弓監督

 今の選手は全体練習の後も自分で動いている。全体の時間はそんなに長くならないんじゃないかな。夜間練習もない。コーチには、故障がないように注意して見ておくことを徹底させる。無理をさせることがないようにね。

 秋季キャンプではノックや打撃投手を買って出るなど精力的に動いたが「最初のころはないんじゃないか」。コーチに任せ、選手を信じて…真弓監督はどっしり構えて大人キャンプを成功させる。【町田達彦】

 [2009年2月1日11時0分

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