球界トップクラスのキャッチングだ!

 WBC日本代表の伊東勤総合コーチ(46)が5日、広島の代表候補選手の視察に沖縄市野球場を訪れた。伊東コーチはブルペンで石原の捕球に見入り「柔らかいキャッチングをする。12球団でもトップクラス」と発言。最終ロースターを狙う石原にとってはこの上ない発奮材料だ。今後は16日から始まる宮崎合宿へ向け、ベストを尽くす。

 視線を感じていた。それでも普段のプレーを心がけた。前田健の投球を受ける。直球、カーブが吸い込まれるようにミットへ。“パーン!”という小気味いい音がブルペンに響く。捕球した後のミットはピクリとも動かない。WBC日本代表の山田、与田両投手コーチともに訪れた伊東コーチが太鼓判を押したキャッチング。その心は「柔らかさ」だ。

 「キャッチングが柔らかい。股(こ)関節が柔らかいから、ああいう受け方ができるんでしょう。12球団トップクラスだと思います」(伊東コーチ)。巨人阿部、マリナーズ城島、西武細川に一歩もひけをとらない。十分に合宿で争える。それを表す一言だった。

 「柔らかさ」とはボールを呼び込む受け方。ミットが迎え入れるようにボールを包み込む。そして、石原はミットを動かさない。そうすることによって審判も見やすい。球団のベテランブルペン捕手は「石原の受け方は優しい捕り方。呼び込んでも手首が負けない。ミットをしっかり止めるから、審判も見やすい。投手も投げやすい」と利点を説明した。

 伊東コーチは、石原のリード面も評価する。「昨季は投手陣をよく引っ張った。それが広島が3位争いをする要因になった。配球面で成長したと思う。捕手としての風格もある。代表の戦力になる。スローイングも含めて総合的に12球団トップクラスだと思います」。加えて、昨年50打点を挙げた勝負強さ、ここぞという時の本塁打。打撃面でも成長著しい。33人から28人に絞られる最終ロースターのチャンスは十分あるはずだ。

 「パ・リーグの投手の球を受ける機会はほとんどない。話を聞きながらやっていきたい。キャッチングは大事。とにかく、やれることを全力でやりたい」。岩隈、ダルビッシュ、田中に松坂らのメジャー勢。多士済々の投手陣のボールを包み込み“33分の28”を勝ち取ってみせる。【網

 孝広】

 [2009年2月6日10時25分

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