<ヤクルト2-8巨人>◇20日◇神宮

 巨人が、小笠原道大内野手(35)の5年連続9度目の30本塁打、両リーグ100打点を記録する活躍でヤクルトに8-2と快勝し80勝一番乗り。リーグ3連覇へのマジックを「5」とした。2位中日は横浜に3-4で敗れ、1勝2敗と負け越して東京へ移動した。21日からの巨人-中日3連戦(東京ドーム)で、巨人の3連勝または2勝1分けでも、23日に優勝が決まる。

 小笠原の打球は鋭いラインドライブがかかり、右翼ポール際へ飛び込んだ。ヤクルト由規のスライダーを豪快にたたきつぶした。4回、リードを6点に広げる30号ソロ。「何が起こるか分からないからね。いい追加点になったと思います」と、両リーグ一番乗りとなる今季80勝目を確実にした。

 偉大な節目の数字を並べた。30本塁打は5年連続9度目。3回には先制中前打で今季100打点目を挙げた。巨人移籍後、初めての大台到達。両リーグでは史上6人目の快挙となった。ただ、打ち続ける秘訣(ひけつ)を問われても「何がって、それは自分でも分からない部分。ピンとこないなあ」と静かに答えるだけだった。

 行動が示している。チームで1、2に早い球場入りから全体練習前のトレーニング、試合後のケアまでのルーティン。工夫も加える。この日の先発は150キロ超を投げる豪腕由規。試合前のフリー打撃では打撃投手寄りに立った。「気分転換です」と笑ったが、体感速度を高めて準備している。

 プロに徹する姿勢はファンにも伝わっていた。今秋、野球雑誌「プロ野球ai」が行った読者アンケート「日本球界で一番、プロフェッショナルだと思う選手は?」で西武中島、阪神金本らを抑え1位に選ばれた。チームメートも誰もが一目置くが、周囲の絶賛にも冷静に話したことがある。

 小笠原

 周りが評価してくれても、どうこう言えないよ。自己評価しながらプレーしているわけでもないし。その日、その日を生きているんだ。

 常に、目の前の一瞬に全力なだけ。初回は由規の149キロをフルスイングし三振。ヘルメットを飛ばした。3回、初球の同じ速球を打ち返し、先制点を奪った。適応性の高さと格の違いを見せつけた。

 原監督は30号アーチに「見事です。ただ、彼にとってはすべてが通過点でしょう。向上心の強い人だから」と頼もしそう。ガッツが打って、優勝マジックは、ついに5。21日からは2位中日と3連戦。2勝1分以上でリーグ3連覇が決まるが、小笠原は「まだまだ。1戦1戦。今までやってきたことを変えることはない。それだけです」と淡々。歓喜の瞬間まで、姿勢を変えるつもりはない。【古川真弥】

 [2009年9月21日8時42分

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